第4話 直線番長に
大学に行く通学路の 三車線の国道の中央車線で一番前で止まる
この信号で中央車線で一番前にバイクを停める は誰の挑戦でも受けるの意思表示
横に並ぶ2スト250
キルスイッチを押し、一旦バイクから降りる
隣のバイクもエンジンを止め バイクから降りる
横の歩行者信号を見ながら、タイミングを測っていく
信号青で押し掛けからのホールショットの勝負
この異世界 意外と皆ノリがいい
250相手なら無敵
4スト400だと、ゼロヨン勝負 エンジンは切らずに
クラッチスタート 勝負が見えた時点で減速がお約束
水曜日の夜に自作チャンバーレーサーから電話で明日行くと
「350で中速トルクをイメージの曲線にした」とのチャンバーを受け取る
其の場で組み付ける
二人でキャブセット 彼のチャンバーのイメージに合わせて中速
「キャブが250用」と二人で納得して
上はやっぱり捨てて8000までで、キャブセット
公道でクソしょぼいサイレンサー 近所迷惑も甚だしい
「なんとか 静かにならん」
「突貫で 膨張率とかの計算まで 後はイメージで175ccに合わせた
そこまでで 昨日徹夜で溶接して サイレンサーまでは無理」
「まだ こっちの250用のサイレンサーの方が静かだが
またキャブセット 自作の手間にもなるし諦めるか」
クソ五月蝿くても なんとか通ってしまうのが 流石 異世界
400相手のクラッチスタートでもほぼ勝てる
流石にCB900Fとかだと全然叶わない
という一週間 土曜日に他科の院生の先輩に呼ばれコーヒーを頂いてると
「おまえのRZなにやった」と訊かれる
「ちょっと内緒」と答えると
「今朝のCBが俺と気がついてるだろ 正直に言え」と叱られて
「TZ350のシリンダ・ピストン・ヘッドを移植しました」と答える
「どうりで、千切れなかったわけだ
焼付きだけは気をつけろよ」と納得して注意をしてくれる先輩
日曜日の早朝 クソ五月蝿い2ストの音を響かせて峠へ
峠に行っても立ち上がり加速だけでいいところに行ける
三本目 スタートを切ったらガンマの彼女が付いてくる
譲ってみたが、後ろにいる
そのまま、立ち上がり加速だけに集中して登っていく
頑張って突っ込んでハングオンで向き変えてよりも
キッチリ減速してキチンと向きを変えての加速
ラインもアウトインアウトが出来る
下りも同じできちんとブレーキで減速して向きかえ加速を熟せると
結構速いグループもカモれる
何時も、トップエンドの組に 言われていた事が出来るようになってきた
ずっと後ろに居るガンマの彼女
いつもの麓の自販機によらずそのまま帰る
翌週も例の信号の中央車線で一番前に行く
先客が居て俺が横に並ぶ事もある
キルスイッチの人も、クラッチスタートの人も様々
パワーに慣れていく
土曜日にCB900Fの先輩の研究室にコーヒーを集りに行くと
「お前の仏壇カラー 噂になってるぞ」と言われる
「へへへ、運良くロハで一式貰えて」と俺
「焼付だけは気をつけろと」と心配をされる
今宵も深けたようで
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