おすすめ商品

 自分がどういう商品をよく見ているのか、よく購入しているのか――自覚はなかったけれど、まさかそれをこういう形で突きつけられるとは思わなかった。


 あなたが好きそうな商品はこれですね? と表示された商品の羅列を見て、自分の好きなジャンルの傾向が分かってしまう……、いや便利なんだけどね。


 類似商品や、これを買った人はこういう商品も買っています、など――ネットショッピングだけでなく、動画サイトでもよくある。


 関連動画なんて、自分が興味ある動画に似ているものがたくさん出てくるから、ついつい見ちゃうのだ。


 動画と違ってネットショッピングはさすがに、「あ、これも買おう」と、手は出にくいけど……、たまに、購入した商品よりも安くて機能が良いものが分かったりすることもあり、その場合はちょっとショックである……。

 あれだけ探して他の商品と吟味したのに、こうもあっさりと上位互換が出てくるのか、とね。


 親切心なのだろうけど、「こっちにすれば良かったのにー」と言われているみたいだ。

 ……よく知る無神経な姉みたいだ。


 検索した時に「半袖」と打っているのに、上から三行目に長袖を入れてくるところも、ずぼらな姉みたいで……、おや、僕の姉を踏襲したAIか? と思ってしまうほどである。


 ポンコツは現実だけでいい。


 デジタルでやらないでくれ……。



「……ん?」



 ――あなたに『おすすめの商品』です。


・縄

・ムチ

・さるぐつわ


・アイマスク

・ガムテープ


・※アダルト表示

・※アダルト表示

・※アダルト表示


・女性用カツラ

・脱毛クリーム


 ……おすすめされる商品に関連性はないとは思うけど……だから偶然である――しかし。


 まるで順番に買っていけ、と言わんばかりのラインナップで――



「おぉい! 僕をなんだと思ってんだコイツッッ!!」



 人が見たら誤解する商品ばかりを集めるな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヒーロー出撃~救い方にはご注意を~(短編集その5) 渡貫とゐち @josho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ