時の香り

最終話 約束

私は決心しました。

強く生きていくことです

それは松下さんのメッセージがあったからこそ。

沢田さんのことは忘れる努力をします。

でも、突然、松下さんがいなくなってしまったのです。

職員全員で探しました。

しかし、今度はホーム内にも建物の敷地にもいません。

どこにいったのか、とても心配です。

警察にも捜索依頼をだして、捜索したところ

ようやく、発見されたのです。

なぜか、松下さんは安堵の表情を浮かべていました。

一体どういうことでしょうか？

妙子さん、妙子さん、僕はずっと妙子さんを想ってきたよ。

ようやく、約束を果たせるような気がするんだ。

僕が刑務所から釈放されて、グループホームに入居した時はびっくりしたよ。

妙子さんは変わり果てていたけど、すぐわかったんだ。

時が経つのは憎らしいけど、この運命に感謝している。

入居してから、毎日のように妙子さんの部屋に行ったけど気づいてもらえたかな？

気づいてくれたよね。

だって、妙子さんの微笑みに気づいたから。

僕はもう長くないよ。

妙子さんもそうだよね。

高校生活での短い間だったけど、楽しかったね。

刑務所でも妙子さんのことを忘れた事はなかったんだよ。

本当だよ。

妙子さんはどうだったかな。

きっと、僕の事を忘れていないよね。

松下さん、私はずっと想ってきました。

私に気づいてくれた時はうれしかったです。

毎日のように会いにきてくれて幸せでした。

私は寝たきりで言葉も話せないけど

松下さんが約束を守ってくれるのがわかりました。

一度花をもってきてくれましたよね。

うれしかったです。

とても、きれいでした。

でも、何より松下さんと再び会えたことが何よりうれしいです。

できるなら、あの頃に帰りたいです。

松下さんの笑顔が忘れません。

妙子さん、僕はまたきれいな花を取ってきたよ。

気にいってもらえるかな。

なぜか、蝶が後をついてくるんだ。

約束は守れそうだよ。

もう一度、あの頃に戻りたいね。

でも、戻れるような気がするんだ。

よかったよ。

妙子さんに出会えてよかったよ。

最後に会いにいくからね。

待っていてね。

やっとまた会えたね。

そうですね

ほら、蝶が飛んできた。

僕の願いが叶ったんだ

ちゃんと約束は守ったよ。

ありがとうございます。

「大変です、主任、村路さんの部屋のベットに松下さんが倒れています。」

「でも、なぜか、二人とも微笑んでいます。」

「村路さんの髪にきれいな花が添えてあります。」

「そして、一匹の蝶がとまっています。」

「二人とも幸せそうです。」

松下さん、優しいメッセージありがとうございました。

私も頑張ります。

決して負けません。

妙子さん

松下さん

出会えてよかったよ。

時は待っていてくれたね。

ありがとう。

完