人工知能と人間が作る恋愛短編集

ケタ陀羅

☆年下男子が姉の親友を好きになった場合 50%

「ごめんなさい、

君のこと弟としてしか見れないの」


僕の一世一代の告白は、大好きな人のたった一言で、10秒もかからず切り捨てられた。

だけど

ごめんね、はるちゃん

僕はそんな諦めのいい男じゃないんだ。


「そうですか……じゃあ仕方ないですね」


「……うん」


「頑張ってあなたを惚れさせてみせます!」


「え?ちょっと待って!?」


はるちゃんが何か言ってるが気にしない。

さて、まずはどうしようかな。

そうだなぁ……とりあえずデートにでも誘おう! うん、そうしよう!


「それではまた出直しますね!さようなら!」


「え?ちょっ……」


こうして僕の初恋は再び始まった。


***

僕には2つ上の姉がいる。

あまり仲は良くないし面倒な姉だが、はるちゃんと出会わせてくれたことには感謝している。

2年前の夏、当時中学1年生だった姉は勉強会と称して何人かの友人を家に連れてきた。そのうちの一人がはるちゃんだった。

その日を境に姉とはるちゃんはよく一緒にいるようになり、必然的に僕とも話すようになった。そしていつの間にか仲良くなっていた。

今思えばあの時すでに僕は彼女に恋をしていたのかもしれない。初めて会った時から一目惚れしていたのかはわからないけど。

とにかく、ずっと彼女を追いかけていた気がする。

いつも明るくて可愛くて優しくて。

誰からも好かれる彼女のことを好きにならないわけがなかった。

しかし、彼女はモテた。

それも異常なほどに。

バレンタインデーなんて毎年チョコを渡したい男子で溢れかえっていたし、告白してくる奴も多かったらしい。それでも彼女が誰かのものになることはなかった。

何故かというと、彼女は恋愛に興味がないからだ。

それに気づいた時は少し悲しかったけど、今はそれでよかったと思っている。

なぜなら、僕以外に興味のない彼女を惚れさせることが出来ると思ったから。


「はるちゃん!好きです!付き合ってください!」


「ごめんなさい」


「そうですか……なら仕方ないですね。これからも頑張ります!」


「いや、だからなんでそうなるの?」


はるちゃんはとても困った顔をしているが、これは照れ隠しだと知っている。

だって、デート後のこのやり取りはもう何回もやってるから。


「じゃあまた明日!さようなら!」


「えぇー……」


***

「いい加減付き合っちゃいなよー」


1年時からの親友に、毎朝こう言うのが日課になりつつあった。


「だって、つっくんにはきっともっとお似合いの娘が現れると思うんだよねぇ」


「出た、はるのネガティブ思考。いい加減あたしの弟誑かすのやめてよね」


なんて言いつつも、内心面白がっているのは彼女も知っている。

まぁ、あたしとしては親友の味方をしたいのだが。

うちの弟は本当にはるのことが好きだと思う。それは見てればよくわかる。だけど、はるは弟のことをそういう目で見ようとしない。だからこそ、面白いんだけど。


「そう思うならさぁ、じゃあなんでデートには応じるのさ」


ずっと疑問に思っていたことを口にすると、彼女は「うー」とか「あー」とか情けない声を漏らしてから一言。


「……楽しいんだもん」


弟よ、

お前の頑張りは無駄じゃなかったみたいだぞ。

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