トーテム－TФTЁM

物語はマンハッタンの片隅の小さなビルで発生したレイプから始まる。男の色めいた吐息と、四肢を縛られた女の悲痛。他方、フィリピンのとある小さな集落で前代未聞の殺人が起きた。被害者は村の青年。無論、犯人は行方を眩まし、何故か事件とともに村の儀式具も盗まれていた。村長から犯人の処刑と儀式具の奪還を命じられた青年ババオ・ライリーはその足蹟を追うその陰で、たかだか小さな村の粗末な儀式具の行方に各国の目が光る。
民族と儀式具と世界中の欲望が、ゆっくりと、それでいて不気味に蠢きつながりあう。