最終話 僕らの夢は保健室がキッカケ
『僕らが保健室出身のワケ』最終話
ガラッ。
ドアが開くとそこには田島先生がりんごを持って立っていた。
山井塩は驚いて先生⁉︎と言った。
田島先生は椅子に座り、リンゴを置き塩に話した。
『久しぶりね。山井くん...大変なこといっぱいあったね。山井くんに何があったかはもう知っているから何も言わなくていいのよ。山井くん、これからどうするか決めてる?』
塩は言う。
『これから...これから、1年間は連司の家にお邪魔して居候して勉強します。その後のことは決めていません、まだ』
田島先生はそうと言った。
塩は田島先生に言った。
『でも、俺...今まで辛くて何も言えなかったけど、もう大丈夫っす。俺...死ぬのはこれで懲りたっす。全部連司のおかげです。先生も来てくれてありがとうございます。俺の親はクソですけど、友達や後輩はやばいくらい優しくて良い人ばかりですから。俺って本当恵まれているなって感じます。先生、りんごありがとうございます。匂いだけでも美味そうです』
田島先生は言う。
『別にいいんだからね。無理に笑おうとしなくても...辛いキツい時は泣いていいんだからね。みんなあなたに手を伸ばして助けてくれるんだから。だから、ひとりで抱え込まないでね。じゃあ、そろそろ帰るから...私より先にいなくならないでね』
塩ははい!と言い、ベットの上で田島先生がいなくなるまで手を振った。
1週間後、山井塩は退院して、荷物ひとつで連司の元に引っ越してきた。
連司は塩を歓迎して、自分の部屋へと連れて行った。
連司は言う。
『ここが俺の部屋、狭いかもだけど3日後には俺も居なくなるし、自由に使って』
塩はありがとうと言った。
そんな会話をしている時、連司の母がご飯よと呼んだ。
連司と塩そして連司の母に父で温かいご飯を前に塩は驚いた。
なかなか食べない塩に連司は声をかけた。
『なんで食べないんだよ。ご飯だぜ。冷めちまうよ』
すると塩は言う。
『俺、冷めたご飯しか食べたことなくて、こんな温かくてみんなで食事を囲むことがなくて、嬉しくて...それで、なんか泣きそう』
連司の母は言う。
『普段は冷めたご飯ばっかだけどね』
連司は言う。
『母さん、やめろよ。そんなこと言うの。確かに今日は特別だけどな』
塩は泣きながら白飯を食べた。
そんな姿に周りは温かい目で見ていた。
そんな時、連司に彼女から電話がかかってきた。
『もしもし、美咲...あー、明日なら空いてる。じゃあね』
塩はご飯を飲み込んで言う。
『お前、彼女出来たの?美咲ってもしかして保健室組の花岡美咲のこと?あの子後輩じゃん。お前年下OKだったんだ。知らなかったわ』
連司は塩の頭をぐしゃぐしゃにして言った。
『うるせー、俺は最初から美咲のことは好きだったんだよ。歳とか関係ない。そういうお前は好きな子居ないのかよ』
塩はハニカミながら言った。
『俺の今の彼女は受験の参考書だよ。彼女は大学入ってから見つけるよ。余計な心配ありがとな』
そんな2人はお腹いっぱいご飯を食べて塩の部屋になる元連司の部屋に行った。
連司は塩に言った。
『塩、大学生になれよ。それで2人でまた遊ぼうぜ』
塩はもちろんだぜと言った。
次の日、公園で連司は美咲と待ち合わせた。
美咲は私服で来た。
それを見て連司はかわいいなと言った。
連司は続けて話した。
『2日後に俺、石破市立大学前駅に引っ越すことになった。まあ、石破駅から3つ先の駅だから遠距離じゃないから安心して。でも、寂しくなっても携帯もあるし、平気だよ』
そういう連司に美咲は突然抱きつきながら言った。
『私は遠距離じゃなくても会えないことの方が辛い。私、来年は高3だし、受験だし、不安だから余計に会えないのは辛いけど、頑張って連司と同じ大学受かるから』
連司は抱きつく美咲にうん。と言った。
公園でそんな2人っきりの時間を過ごした。
周りのそれからの話を話そう。
まず、花岡美咲は山川連司の為に大学受験の為に、保健室で勉強をしていた。
次に橋本京香は2作目の小説を執筆中である。大学は推薦で石破女子大へと進んだ。
3人目の久郷正人くんはプログラミング同好会でゲーム作りに勤しみ、プログラミングの専門学校に入ることが決まったのだった。
4人目のダイゴ•ジェームズくんは日本ツアーを成し遂げた。そして、高3にしてメジャーデビューを果たしたのだ。
最後に山井塩は大学へと受かり、曽祖父の家に暮らしながら、また山川連司と馬鹿をやっている。
そして、田島先生はそんな生徒の成長を見守り彼らが保健室から飛び出し自分の夢を叶える姿に拍手を送っていた。
保健室にはまた新たな石破高校の生徒がひとり2人と来るのを田島先生は待っている。
保健室で待ってるよ。
『終わり』
僕らが保健室出身のワケ ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet
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