第11話 恋雨

ーーーーーーーーーーーーーの夕方には戻る。




取り敢えず状況を整理しよう。

今、家に二人きり。


…非常に不味っ

いや、私が耐えられないだけなんだけど…。


降りしきる雨粒はパチパチと窓枠を打ち、風とも雨ともつかぬ音が心をざわめかせる。

彼に泊まると言い出され困惑を隠しきれない。

何かに急かされるような心地がして…取り敢えずごちゃごちゃと渦巻く思考を整理したかったのに…


無理だ。


と言うより、何も考えられない。


そわそわと落ち着かないまま過ごしていたのか、あっという間に卓上の紅茶はぬるくなってしまっていた。


〖子供独りじゃ危ない…〗


そう耳に刺さった言葉は

胸に引っ掛かったまま…

心の奥に鉛玉を落として

糊のように絡めとった懸念を

執拗なまでに掻き立てる


苦しい。

いや…今までも

ずっと苦しかった。

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氷砂糖食(は)む夜 靑HIRO @ShuQShuQ-LENDO

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