第10話 染まるオペラ
『今日通達したのは他でもない…
こんな時に珍しい…
モナドからの指令は癪だが、独りでに身体が動き即座に車へと乗り込んでいた。
「しかしだ…5分足らずで此方に到着するとは流石、
「解ってる…………滅多にしないし、久しぶりなんだから大丈夫だろ。お前のお陰で、時間軸を越えるのもだいぶ慣れたよ。」
ネクタイを緩めながら
「フンッ…自覚があるなら控えて貰わねばな。それに…君が来なければ来ないで、彼女は私の麗しい姿を拝めたかもしれんぞ?」
「うえっ…お前まさか、人間に化けて迎えにいくつもりだったのか………来てよかった。」
咄嗟の行動が功を奏したことに安堵する。
「仕方なかろう。今日に限って人が居ないのだよ…それこそ、私の変身なぞ滅多に見れないのだから…貴重だぞ?フフンッ…どうだ?」
「あ~遠慮しとくよ。」
どうせビジュアルバンド被れのとんでもナルシストが出来上がるだけだ…最悪を想定しておかなければ。コイツの行動には信用が置けない上に胡散臭さ溢れる言い回しで、彼女を連れ帰るどころか学校中から警戒されてしまうだろう。
俺は最近、自覚できた事がある。
実のところ生粋の負けず嫌いだったようで…彼女と1ヶ月以上離れたせいもあり、
こういった話題に限って渦中の
「このまま迎えに行ってくれ。」
「えっ…ああ、解ってる。」
心臓が止まるかと思った。
「
淡々と話す割に妙に急かすな…。
「…まったく…変わらず唐突だな。」
「つべこべ言わず、早よ行け。」
シッシと犬でも追い払わんばかりに車へと促すと、見知らぬ高校へ向かわせる。しかし彼の無限の能力のお陰で、学校までの道のりも彼女の兄の振りをすることも、実に容易いものだった。
ーそして
彼女を無事に送り届け、速やかに帰路へ着く…つもりだったんだが。
何やかんやで…体調が悪化している彼女を独り家に置くわけにもいかず、明日の夕方を過ぎるまで俺は
きっと大丈夫…な筈だ。
ーしかしー
無情にも振りやまぬ雨は彼女の微熱をより一層助長させ、思考を曖昧にし始める。朦朧とする意識の中で次第にコントロールを失い…熱に浮かされた
真夜中に
果して
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