第6話

 その晩、第24警備隊一行は、その日の宿舎であるイーサラ星系軍の隊舎にいた。

ディースバッハ2等佐が1室割り当てられたため、ロイジウスとアルデバランは2人部屋を存分に使える状況だった。

「……何か女性陣には申し訳ないですね、ロイ先輩」

「まぁ、向こうさんは仲良く3人部屋だからな。……でも、養成所の寮で暮らしてた時よりはマシだろう?」

「あれはいろいろとカオスでしたからね」とバランは返した。

「……それより、ロイ先輩。僕が上座かみざのベッドを使っちゃって良いんですか?」

「当たり前だろ? いくら最終的にシルべを取り押さえたのがルルだったとは言え、お前は迷いシルべを1匹見つけたんだ。だから、お前が遠慮する筋合いは何もない」

「……何かすみません」

「いいんだよ。どのみち俺は寝袋1枚あれば寝れるから」


 一方、同じ頃。女性陣の部屋では予想通り、一騒動起こっていた。

「今日は何もしていないから」と、マリーが「ルルに上座のベッドを勧め、リアには下座しもざのベッドをそのまま使えと指示し、自身はソファベッドで寝る」と言い出したのだ。

「スワンソン先輩、やはり私と換わってください」

「良いの良いのルル。私は1日スチャラカ中佐のお目付けやってただけだから。それに引き換え、あんたは1匹とは言え、シルべ見っけて保護したんだから。それに先輩に遠慮ばかりしてると、かわいがってはもらえても出世はできないわよ?」

「まぁ。それなら遠慮なくお言葉に甘えることにします。……あ。先に1等尉に昇進したとしても、お二人のことはあごで使いませんから」

「まぁ、あんたが1等尉になる前に、あたしが3等佐くらいになって、スチャラカ中佐から暫定指揮権をもらうほうが先だと思うけどね。……それよりアルフィーは『大冒険だった』んだって?」

「もう! だから、その呼び方は止めてくださいよ‼︎ ……確かに、『照明の切れたところにかかった10段ほどの梯子は降り』ましたけど。だけどそれは、ロイの提案を蹴った罰が当たっただけで……」

「ロイジウス先輩は、普段ぼんやりしてるのに、時々ビックリするような行動力を発揮しますものね。だけど、見つからなかった純白ピュアホワイト種の女の子シルべは、どこに行ってしまったのでしょう?」

「明日は時間を見つけてステーション内を走り回っても探しましょう。どのみち、この先しばらくここでイーサラ星系軍への航宙指導記録の精査だもの」とため息混じりにリアは言った。

するとマリーがすぐさま立ち上がり、「デスクワークをするのに、睡眠不足は大敵よ! みんな、寝るわよ!」と照明を消そうとした。

「待ってくださいスワンソン先輩、まだ……」

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銀河連合宙路警備隊活動日誌 赤音崎爽 @WyWsH3972

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