チャイルドとロボとカメラ、rec

@mohoumono

第1話 スクラップと少年

ある所に、

金属のゴミが山のように

廃棄された場所がありました。

人々は、

そこをスクラップ山と呼んでいました。

そこでは、ある少年が遊んでいて、

その少年は名前をレリーフと言いました。

レリーフは、

ある日あるものを発見しました。

それは、壊れたロボットです。

レリーフは、スクラップを集めて、

くっつけていました。

けれど、月日が経ってもロボットが 

動くことはありませんでした。

レリーフは、しょんぼりと肩を落とし

家に帰ろうとした瞬間雷が落ちました。

それは、それはとても大きな雷でした。

その時、奇跡が起きました。



「で、これの何が面白いってんだ?」

ある男は、体から軋んだ音を出しながら

言った。


「知らないよ。

 というか途中までしかないじゃん。

 新品買ってきてって言ったじゃん。」

またある男も、

同じように軋んだ音を出しながら言った。


「残念。無念でスプラッタ行きの俺たちには

 そんな金なんて無いのさ。

 もう諦めて、

 辞世の句でも考えたらどうだい?」

男は、ボロボロの絵本を

ゴミ箱に放り投げながら言った。


「そんなくだらないこと言ってる暇があるなら、お願いだから。

映画のストーリーの一つでも考えてくれよ。

僕は、まだ死にたく無いんだ。」

ある男は、懇願するように掌を合わせて

体を軋ませながら言った。


2人の男の言い合いは、暫く続いた。

それはもう、意味のないものだった。

それは夜まで続いた。


「もう良いよ。君には失望したよ。」

ある男は、呆れた様子で男に背を向け、

その場を去ろうとする。


「どこに行くんだ?オンボロ。

 油すら満足に差せてない

 そのポンコツな体で。」

男は、軋んだ音を出しながら腕を上げる。


「捨てられている油を探しに行くんだよ。

 何もしないよりかは、マシだからね。」

ある男は、声を荒げ走ろうとするが

うまく潤滑せずその場で倒れてしまった。


「分かった。すまない

 言い過ぎた。油ならまだ少しある。

 けど、俺たちが足掻いたって

 どうにもならないだろう。

 後一ヶ月で、何が出来るというんだ。

 あの偏屈なわりにメルヘンチックな

 クソ評論家どもに、

 配慮したものを作るというのか。

 俺は、そんなの死んでも嫌だね。」

男は、ある男に油を差しながら

  自分が、

  ミュージカルの役者であるかのように

  大袈裟な抑揚をつけて言った。

   

ある男は、それを聞き

「だから、死んだら元も子もないって言ってるだろ?」と挨拶をするかのように言った。


男は、油を差し終え、道具を地面に置き、

「違うんだよ。

 一回それで認められてしまったら

 それ以外のことが、創れなくなるんだ

 お手手繋いでみんな一直線なんてものは、

 勿論、面白いものもある。

 それは認める。

 けどな、

 そんなもの死んでいるのと何が違う。

 勝手に、性格を推測され、

 良い奴に祭り上げられ、

 その上創ることさえ、強制されちまったら

 俺という存在は、死んで、

 俺という偶像が生まれるだけだ。

 それなら、 

 死んだほうがマシだって話だ。」

と大袈裟なジェスチャーをしながら言った。


ある男は、溜息をつき片手で頭を抱え

「分かったよ。

 なら、

 最後に一つ納得のいくものをつくろう。

 それで、スプラッタ行きなら

 もうそれで良いよ。」

諦めた様子で言った。


それを聞いた男は、

「クッスラ、

 お前ならそう言ってくれるよな。

 やっぱ俺の相棒は、お前しかいないぜ。」

と嬉しそうに言い、

一回転し、その場に座った。


それを聞いたクッスラは、

「クップラス、

 本当調子のいいことしか言わないね。

 まぁ、僕も君以外と映画を撮る光景なんて

 想像できないけどね。」

口角を少しあげ、

クップラスに油を差し始めた。

 

油を差し終えると、二人とも先ほどの

ぎこちない動きや軋んだ音は、

嘘だったように滑らかに無音で、

体を動かした。


そして、二人は納得のいく脚本を創ろうと

時間をかけたが、上手くはいかなかった。

クップラスは、頭を抱え

「後、1ピースなんだ。

 それだけであいつらが

 認めざる得ないものが出来上がるんだ。」

と言った後、

片手を上げ自分の不甲斐なさに苛立ち

地面を叩いた。


クッスラは、

クップラスが書いた脚本を隅々まで読み、

「確かに、一ピース足りないね。

 だけど、もう時間がないよ。

 今から取り始めなきゃ

 品評会にすら間に合わずスプラッタ行き 

 だ。

 それに、一ピース足りないと言っても、

 十分上のランクに行ける程度には、

 面白いと思うけど?」

そう言った。

「それも、そうだ。

 だけど、初めてなんだよ。

 ここまで悔しいものができたのは、」

クップラスは、そう言った後

歯を食いしばり、振り下ろした拳を

さらに強く握り締め、地面に擦り付ける。


その瞬間、

クップラスの、強い思いが届いたのか

クップラスの横に直径50cmの穴が空いた。

そして、それから何かが飛び出した。

それは、空想上の生き物のはずの

ヒトの子供だった。

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