シロツメクサ

 俺は花畑に座っていた。シロツメクサで花環を作っていた。そこに、天宮という少年がやってきた。

「ショウくん、それ、誰にあげるの?」

「……ミキくんにだよ」

「本当? 嬉しいなぁ」

 天宮ミキはにこにこしながら、俺の前に座っていた。作り終わって、俺はミキの頭に花環を乗せた。

「似合うよ、ミキくん」

「ありがとう、ショウくん!」


 今目の前でミキが崖っぷちに立っている。物理的な話だ。彼は自殺しようとしている。彼の部屋に行って、遺書を見て俺は居場所の目星をつけて、ここにやってきた。

「ミキ。……俺が嫌なんだ。まだ一緒にしたいことがある」

「……なんだよ」

「お前にまた花環をあげたい。……んで、他にも渡したいものがある」

「……それは何?」

「今はナイショだよ」


 彼に渡そうと思っていた指輪は、俺の手の中にあった。まだ渡すつもりはない。ミキはこちらにやってきた。彼を抱きしめるために、俺は手を広げた。

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花の小説集 はる @mahunna

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