不思議なお嬢様

ひとりごと

　…………眠れない。

　マーリネイト嬢と愛し合った後の疲労からか、先ほどまでは確かに強い眠気を感じていたのに、全くと言っていいほど、眠れない。目を閉じても「眠れないな」と直覚する。

　眠れない原因には、心当たりがあった。迷いなく「これだ」と言えるほどの確信はないが、ぼんやりとした心当たりがそこに。

　違和感。

　何に対しての違和感？

　わからない。

　でも、マーリネイト嬢の寝顔を見つめていると、何かが変だなと思うことがある。おかしなことは、どこにもないはずなのに。

　気のせいだろう、と余計な考え事は流してしまえばいいのに、それが出来ない。

　薄暗がりの中で、自分の両手のひらをじっと見た。

　隙間なく幸福感で満たされていたはずの僕の心には、手にした幸福が次々と漏れ出ていく大穴があったらしい。

　その穴を埋めるためにはおそらく、今僕が感じている違和感の正体をつかみ、解決することが必要なんだとは思う。

　……ようやく愛しのマーリネイト嬢と結ばれることになったというのに、僕はいったいどうしたのだろうか。