第2話 解答編

「ダブレットオパールが非売品の理由ですね」

「すごくきれいなルースなのに、非売品の理由を知りたい」


 芽衣子さんに視線をむけた。

「ダブレットオパールは加工オパールだからです。表面が天然オパールで、裏面はプラスチックなどが多いです。貼り合わせで作られたオパールになります」


「天然オパールとは異なるから非売品なの?」

「このお店では天然オパールのみを販売しています。ダブレットオパールはサンプルとしておいてあるだけです。ですから非売品です」


 非売品になっている理由がわかった。でも見た目は天然オパールに見える。

「きれいなオパールだから、ほしい人も多いと思う。仮に売る場合は、天然オパールよりも安い価格なの?」


「同等の品質なら安価になります。ダブレットオパールと知って、安く購入する分には問題はありません。ただデメリットも把握しておくべきです」

 天然オパールにこだわらず、普段使いのアクセサリーなら有効かもしれない。でもダブレットオパールには問題があるみたい。


「どのようなデメリットなの?」

「貼り合わせのオパールなので、貼り合わせた部分が剥がれやすいです。貼り合わせた部分から汗や水が入れば、美しさも損なわれます」


「安いのには理由があったのね」

「それを納得した上で買えば問題ないです。天然オパールとして売られている場合もあります。注意してください」


 せっかく天然オパールとして買った宝石が貼り合わせだった。私なら悔やんでも悔やみきれない。間違って買わないようにしたい。

「芽衣子さん、天然オパールとダブレットオパールの見分け方を知りたい」

「確実なのは鑑別ですが、いくつか見分ける方法はあります」


 芽衣子さんがルースケースから取り出して、ていねいにトレイへ置いた。

 真上から見るときれいなオパールね。天然とダブレットの違いはわからない。

「ルースを見ればわかるの?」

「裏面と側面を見てください」


 ルースを手に取った。裏面の状態を確認した。横からも眺めてみた。

「私でも裏側がプラスチックで作られたとわかった。横はきれいな一直線で、上と下の素材がわかれている。でも見た感じでは接着剤などはわからない」


 よく見かける黒色のプラスチックはわかりやすかった。

「直線的な境目が貼り合わせの特徴です。天然では、きれいな直線はほとんどありません。ただ天然に似せて波打った境目もあるので注意が必要です」


「境目が重要なのね」

「そのとおりです。怪しいと思ったらルーペでの確認をおすすめします」

 ダブレットオパールの特徴がわかった。見分け方も教えてもらった。天然と間違えないように注意したい。ルースをトレイに戻した。


「教えてくれてありがとう。ほかのルースも眺めてみるね」

 ほかのルースへ視線を移した。時間を忘れてオパールを堪能した。


(了)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宝石オパールは語る_6 ~天然の宝石~ 色石ひかる @play_of_color

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ