宝石オパールは語る_6 ~天然の宝石~

色石ひかる

第1話 問題編

 私は倉木くらき彩香あやか、20歳の女性。ルースコレクター初心者の社会人。ルースは宝石の石単体で裸石ともよばれている。中でもオパールが大好きだった。


 宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の川畑かわばた芽衣子めいこさんを見かけた。20代後半のお姉さんだった。


「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」

「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」

 展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。


 最初は透明感と輝きのあるホワイトオパールを眺めた。クリスタルタイプと呼ばれるルースだった。

「気に入ったルースがありましたか」

「白乳色が多いホワイトオパールの中で、透き通る感じのルースが好き。このルースならずっと眺めていられる」


「きれいなルースでわたしも気に入っています。クリスタルタイプは人気です。価格は高めですがおすすめです」

 芽衣子さんが笑顔で答えてくれた。

「手に届く値段みたい。購入候補になりそう。でももう少しオパールを見るね」

「たくさんの種類があります。好きなだけ見てください」


 ホワイトオパールからボルダーオパールに目をむけた。個性的な模様が多いルースだった。手のひらサイズの大きいルースもあった。

 赤色がきれいなブラックオパールもあった。手を出せない値段だった。見る分にはお金がかからない。すてきな色合いを堪能した。


 視線を移動させた。ガラスケースの隅に大きめのルースケースがひとつあった。非売品と書かれている。

「ダブレットオパール?」


 はじめて聞く種類のオパールだった。周りには同じ名前のオパールはなかった。

 タブレットならパソコンや食べ物で聞いた覚えがある。でもダブレットは、はじめて聞く言葉だった。

 見た目はブラックオパールで、青色が眩しいくらい輝いていた。ほかのルースよりもきれいで大きさもあった。


「芽衣子さん、このルースが非売品なのは高価だからなの?」

 奥側にいた芽衣子さんへ声をかけた。

「どのルースですか」

「ダブレットオパールと書かれているルースよ」

「こちらのルースですか」


 芽衣子さんが、ガラスケースからルースケースを取り出した。私が知りたかったルースケースだった。近くで見ると、きれいさも増して見えた。

「すごくきれいで輝きも凄いルースよね。高価だから非売品なの?」

「きれいなルースですが、残念ながらべつの理由です」


「値段以外なのね。何故このルースが非売品なのか知りたい」

 芽衣子さんの発言をまった。

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