第5話 そんな君が好きだよ。

「やーい!ババア!」

幼稚園の頃は髪が白くて白髪って言われ続けてた。同い歳の男の立ちからずっと虐められてて、そんな中お父さんとお母さんが離婚した。

「違うもん…」

「こんな髪だから父ちゃんかーちゃん別になったんだよ!」

「そんなこと…」

ブチブチ鈍い音をたてなが抜かれる白い髪。いじめっ子との間に入ってくれた子がいた。

「やめてよ!」

「何だよ!ババアの味方すんのか〜」

「う、ち、違うよ!白い髪はお姫様の証拠だよ!絵本に乗ってたもん!先生ー!」

「ウゲ!」

先生が近づいてきていじめっ子は逃げていった。

「大丈夫?」

「うん…」

「やっぱり綺麗だねその白い髪」

その時からシュウちゃんは私の王子様になった。

これが、ミカ、私とシュウちゃんの思い出。その後すぐに私は引っ越してしまったけれど、大っ嫌いな髪が大好きになった瞬間だった。

だから、シュウちゃんを手に入れるために沢山勉強した。

でも、シュウちゃんは誰にでも優しいから、みんなが好きになっちゃう。

それはダメ!

どうしよう、シュウちゃんを、奪われたくない。シュウちゃんが、私以外を愛せないように、しないと。いや、愛しても必ずま戻ってくるように。誰かに捨てられるように。

心の手に入れ方、洗脳の仕方、マインドコントロールだって、やり方を覚えて。ちゃんと、上手くいってたのに。なのに……

ネオン街外の裏、私と灯は話していた。互いを睨みつけながら。

「お前、修を弄んで楽しいか?」

「弄ぶ?私は純粋にシュウちゃんが好きなだけだよ?」

「好きな奴を洗脳する奴がどこにいんだよ!」

「なんの事?これは私達の愛し合い方よ?」

「それで修が苦しんでだよ!彼奴は気が弱くて優しいアイツか人ぶん殴るかよ!」

「だから私が洗脳してると?」

「お前と付き合ってからなんだよ!お前が確実になにかしないと、人を、ましてや好きなやつを殴るかよ!」

私は灯の胸ぐらを掴んで、自分に引き寄せ、腕を回した。耳元で悪魔よりも邪悪に囁く。

「シュウちゃんは優しいから私の言った事をすぐ信じてくれるの。私がシュウちゃんに殴られたって言ったら段々ホントにしてくれたの。人を愛して、人の愛し方が変わるなんてよくあることでしょ?だって……それが愛なんだから」

「てめぇ…!そうやって演技して、アイツを陥れてどうする気だ!」

「煩いなぁ」

スタンガンを肩の当たり当てて灯をその場に踞らせた。ピクピク震える灯に

「貴方に私の何が分かるの?今まで頑張って来たの。シュウちゃんを誰の元にも行かせないために、今のシュウちゃんを受け入れさせないために!なのに、なんで邪魔するの?今のシュウちゃんを受け入れられるのは私だけなの。だから近寄らないで。私のシュウちゃんに触らないで」

もう、離れ離れにならないた為に、可愛くなって、料理も、物もシュウちゃん自身も私で染めるために、頑張ったのに!どうして邪魔をするの?

「私の王子様は、誰にも奪わせない」

「ふ、ざけんな」

「何」

「アイ、ツは、修…だ」

「だから王子なの」

そう吐き捨てて表路地につま先を向けた。

「ただいま〜じゃなかった、って、」

シュウちゃんの家に入ると電気が着いておらず、シュウちゃんが玄関前に立っていた。

「シュウちゃん?どうしたの?電気付けないでくらいよ」

瞬間、体が縫い付けられ肩を噛み付かれた。

「いっ!」

「なんで灯と居たの?なんで?」

「トモ君?別に大した事じゃないよ」

「じゃあ、なんで抱き合うの?僕だけじないの?」

嫉妬、してくれてる。嗚呼、嬉しい。凄く

「シュウちゃん…!」

喜びを隠そうとして弱くなった声を締めあげられる。

「ぐ…がっ…」

互いの顔が暗くて見えない。シュウちゃんはどんな顔をしているんだろう。

頬に触れると、シュウちゃんは私を離して部屋にこもってしまった。

追いかけてドア越しに泣いているシュウちゃんに呼びかける。

「ミカ、別れよう」

「え?」

思いもよらぬ言葉に私の視界は真っ白になった。頭が処理出来ない。呆然としたまま聞いていた。

「嫌だ」

そこから何を言ったのかよく覚えてない繋ぎとめるために、昔の話をした気がする。

私をお姫様と言ってくれたシュウちゃん。私をお姫様にしてくれた。だから私はここに居られるの

また、一人ぼっちは嫌だよ

「私を一人にしないでよ、シュウちゃん…」

その時、ドアノブが回った。直ぐに入ってシュウちゃんに抱きつく。

「開けてくれた!シュウちゃん!紛らわしい事してごめんね?シュウちゃんの事をお話してたの。嘘じゃないよ?ホントだよ?」

「う、うん」

「許してくれる?」

「うん…僕もごめん」

「良いよ」

嗚呼、今のシュウちゃんは弱くて可愛い。私しか見えてない。何があっても私を裏切らない。必ず戻ってきてくれる。


何も知らない。

泣いて、子猫みたいな君が好き。

助けを求める君が、可愛くてしょうがない。

大好きだよ

私を求める、

そんな君が好き

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そんな君が好き 華創使梨 @Kuro1230

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