夏の悪夢
士郎
時間停止の空白
目が覚めた。時計を見たら昼の2時と少し針が傾いていた。ゲームのログインボーナスを受け取ったがもう他にやることがない。あとは適当に時間を消費して死ぬまでを数えているだけだ。もう察しがついたかもしれないが俺はニートだ。なぜニートになったかは触れないでおこう。
俺は親の顔を覚えていない。3年ほど前に交通事故で父母ともに他界した。今は弟の家に居候をしている。弟は俺と違って昔から出来が良く、全て上手くいっていた。ずっとそんな弟を妬んでいた。まぁ今更どうでも良い話ではある。
俺はこう見えて本を読むのが好きだ。弟の部屋にある本棚から本を借りてよく読んでいる。だが本の扱い方が下手な俺は弟に苦情されて渋々図書館に向かうことにした。正直、暑いので外には出たくないが仕方ない。本を読みに俺は図書館へ向かった。
図書館には最近話題になっている本や昔からあるような古臭い本まで色々とあった。図書館を隈なく散策していると一冊の本を見つけだした。その本は時代を感じる本で何年も人間に触られていないようだった。なぜか題名もよくわからない言語で書かれており理解できなかったがすごく魅力的に感じた。
俺は図書館の管理人に本の詳細を聞こうと思い管理人を探したがなかなか見当たらない。仕方なく本のページをめくることにした。そこには何も書かれておらず紙も変色していた。しかしページを進めるうちに何やら書いてあることに気がついた。「六月のデザイア」なんのことかわからず首を傾げた。
しかし何か懐かしいような悲しいような変な気持ちになった。居ても立っても居られなくなった俺は家に本を持ち帰った。弟に話を聞いたが何かわからないような感じでリビングからさっさと立ち去った。俺はその本に本能的に自分の思いを書くことにした。どうせ無くなっても図書館の管理人は気がつかないだろうと思ったからいいと思った。
書いているのはいいが最近同じことの繰り返しで書くことがない。なので昔の後悔やら愚痴を書くことにした。できるだけ詳細を書くようにした。何もならないのはわかっていたがペンが止まらなかった。朝方、睡魔が押し寄せ流石に寝ることにした。
これから俺の後悔と醜い物語が始まることも知らずに。
夏の悪夢 士郎 @suna_kaku
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