番外編 執事長の終活ノートⅡ
こんにちは、番外編Ⅱとなるのですが、Ⅰを読むとより面白いと思います。
前回の番外編はこちらからどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/16817139558390252186/episodes/16817330647644920118
十五話の後半を読むとさらに面白いかもしれません。こちらからどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/16817139558390252186/episodes/16817330647583753548
まぁ、わしは終活ノート兼日記を書くことにしたのじゃが、わし、毎日同じことをしているのじゃよ。
リーナ殿と岩を彫り、加工して、道路に並べる。
わしは〖
なんとも華麗なコンビネーションでわしらも少しテンションが上がってしまうのじゃ。そんなことを考えておると、リーナ殿がピクリと動いた。
「どうしたのじゃ?また、それかの?」
「あぁ、そうだ。すまないな、老執事。アタシは行ってくる」
しょうがないのぅ。リーナ殿にも仕事があるのじゃ。戻ってくるまで、老いぼれ一人で進めるかのぅ。
とはいえ、わしが並べても、歩けなくなる歩道になるだけじゃから、必要な分だけを持ち運んどくとするかのぅ。
老執事、すまない、逃がしてしまった。ヤツはそっちに向かった。
リーナの謝罪を
ヤツも、加速系スキルを持っていたのか、遠ざかっても、わしを追いかけるように三キロ離れたところを走ってくる。
ヤツに感覚系のスキルは無いが、逃げる方向がらだ同じというわけじゃのぅ。
このままでは、追いつかれてしまうのぅ。多分、リーナ殿のほうが先にやってくれるから、大丈夫だと思うがのぅ。
老執事、始末完了だ。先ほどは本当にすまなかった。
超耳はリーナ殿の仕事を完了させたことを伝え、わしは街道に戻った。
リーナ殿は、二人の血まみれな男を引きずってきた。返り血は無く、リーナ殿は無事に見えた。
「どこの刺客じゃ?」
「この腰のバンダナのマーク…、ちっ、またセルトファディアからか」
リーナは舌打ちをし、死体を蹴った。
「もう、今月で…百人は送られてきたのぅ」
セルトファディア家からの刺客は今月で百人を超えている。
その中には、使用人序列第四位の副騎士長も含まれていた。
わしは、副騎士長とは、かなり仲良くしておったのじゃ。年齢がちょうどわしに子供がいたら、それくらいのじゃ。だから、可愛くてのぅ。
可愛がっていた副騎士長の死体や、こいつらは、すべて荼毘にふし、ごちゃまぜに埋葬している。
「くそっ、何であいつが狙われなきゃなんねぇんだよ」
リーナ殿は、死体を蹴りながら、生かされ左遷されてきた坊ちゃんのことを思い、涙を流していた。
しゃがみこみ、死体にうずくまるように腰を落とすと、死体を殴りながら、クソ、クソ、と何度も何度もつぶやく。
わしも、人は何百人も殺してきた。日本で武士をやっていた時、現当主の専属執事だった時、そして、坊ちゃんの専属執事である今。
騎士なんかより、圧倒的にわしら執事やメイドのほうが汚職を請け負っている。
何のために、執事になったのか、何のために、メイドを目指したのか。
わしらは、使用人の存在意義を探し、人を殺す。
使えている主のため?わしが生き残るため?金を稼いで家族を養うため?
そんなものは、分からない。いつの間にか人を殺すことに快楽を感じている自分もいる。そうやって、悩みながら使用人は生きているのだ。
「リーナ殿。せっかくレイナさんの母上が編んでくださった洋服が汚れてしまいますぞ。わしが片付けておくから、少し休んでおくのじゃ」
わしは、男の死体をつかみ、瞬俊で山の隅まで走る。
火をおこし、マッチを死体に投げ捨てる。
つけていた衣服がすぐに燃え、皮膚に移る。
ごうごうと燃える炎を見ていると、わしの脳裏には坊ちゃんが映し出された。
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