第1話 ただの狩人ですけど?

「いやぁ、最初はフレイアを待ってたんだけど手紙の返信がなくなったぐらいの時にちょうどミーナと出会ってフレイアの事を相談してるうちにいつの間にか好きになっちゃってたんだゴメンね」


「う、うん。こっちこそゴメンね……。」


「全然いいよ!でも王子様と結婚かぁ~。これからはフレイア様って呼ばなきゃダメかな?」


「い、今までのいいわよ……。」


「いいの?ありがとね!フレイア様って呼んじゃうと距離が離れる気がしてちょっと嫌だったんだ。あっ!これこの間倒した黒龍のお肉なんだ遠慮なく食べて食べて♪」


「こ、黒龍っ!? あ、アレクが倒したの?」


「うん、そうだよ♪ 勇者のフレイアには敵わないけど、黒龍ぐらいならなんとか倒せるって感じかなぁ~。」


「そ、そう…なんだ……。」


「黒龍のステーキはあんまり好きじゃなかった? あ、オークエンペラーのお肉なら少し余ってるからそっちにする? マルク殿下もあんまり食べてないみたいですけどオークエンペラーのお肉の方が良かったですか?」


「い、いや。こ、黒龍のステーキで十分だ……。」


「そうですか……。あまりいいお肉を用意できなくてすいません。もし次があればエンシェントドラゴンのステーキが出せるように頑張りますね!」


「あ、ああ。と、ところでアレク君の職業は狩人と聞いていたのだが、私の聞き間違いだったのかな?」


「いえ、ただの狩人ですけど?」


「そ、そうか……。」


(ただの狩人が黒龍やオークエンペラーを狩れる訳ないだろうがっ!!)


「ちなみにどうやって狩ったのか教えてもらえるかな?」


「はい、弓です。」


(弓なんかじゃ黒龍に傷1つつけられないないっ!!)


「ち、ちなみにどんな弓か見せてくれないか?」


「えぇ!?自分で作った弓なんで見せるのは恥ずかしいんですがどうしてもというならお見せします。」


「どうしても見て見たい……。」


「わかりました。こちらです!」


アレクは異空間から弓を取り出してマルク殿下に弓を見せる


(異空間庫だとっ!? しかもこの光輝く弓は一体なんなんだ!!)


「こ、これをアレクが作ったのかい?」


「は、はい。あまり出来が良くないのでお恥ずかしい限りです……えへへ。」


(これで出来が良くないだって!? この弓は伝説級どころか下手すると神話級以上だぞ!!!)


「僕が作ると全部光ってしまうんですよ。眩しくてうっとおしいだけなんで光らないように頑張ってるんですけど中々上手くいかなくて……。」


「あ、そうなんだ………。」


(光らなかったらただの弓だからっ!!)


国をも傾けかねない傾国の美女ミーナに、神話級の弓


そして黒龍やオークエンペラーを倒す実力


(このアレクという男は一体何者なんだ!?)


「あ、そうだ!この間おもしろい事があったんだよフレイア。」


「おもしろい事?」


「うん!昔よく泳ぎに行った池覚えてる?」


「うん、覚えてるわよ」


「この間、狩りに行こうと思って池の方まで行ったんだけど弓はあったんだけど矢を補充するのを忘れちゃって取りに帰ろうとしたらフェンリルに会ったんだよ。」


「ふぇ、フェンリルぅぅ!?」


「そうそう、でさ矢がないから素手で殴ったんだけどフェンリルがどっかに飛んでっちゃって必死で追いかけたんだけど行方不明になっちゃったんだぁ…あはは♪」


(なんで笑ってんの!? いまの話の笑える要素どこ!? ていうか神の使いと言われてるフェンリル殴っちゃダメでしょ!!)


「いま思い出しても笑えるよねぇ~ あはははは♪」


「……クスクス♪」


(アレクの笑いのツボがわからない……。そしてミーナもなにげにクスクス笑ってんじゃないわよ!)


「ふぅ!でもフレイアが幸せで良かったよ。本当は勝手に結婚した僕に怒ってるんじゃないかって思って会うのが怖かったんだ……。でもマルク殿下と幸せそうにしてるフレイアを見て安心したよ!」


「そっか……。私もアレクに会うのが怖かったけどマルク殿下の説得もあって勇気を出してここに帰ってきた。アレクが幸せそうで私も安心したわ!」


「うん!お互いに幸せになろうね♪」


こうして不安だったフレイアとの再会は無事に果たされ円満に終わった




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NTR?裏切り?なにそれ美味しいの? ヤマゴロウ @yamagorou

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