NTR?裏切り?なにそれ美味しいの?

ヤマゴロウ

プロローグ

僕はアレス、幼馴染の女の子フレイアと将来世界一の冒険者になり結婚するという約束を交わしていた。


だけど、別れは唐突に訪れる。


15歳で職業選別の儀式を受け、僕は狩人でフレイアは勇者だった


勇者の誕生に王国中が歓喜に包まれた。


後日、フレイアは王都へと連れていかれ様々な訓練を受け


剣聖である第一王子のマルク、賢者のシルキィ、大神官ポトス


4人のパーティーが大々的に発表された


フレイアについて行きたかったが、残念ながらパーティーに僕の居場所はなかった。


そして旅立ちの日……。


「フレイア……。無茶だけはしないでね。」


「うん……。あたし魔王を倒して必ず帰ってくるから、その時は……。」


2人の間にそれ以上の言葉はいらなかった。




――――――10年後――――――




再び王国は歓喜に包まれた


勇者パーティーが魔王の討伐に成功したのだ


帰還パレードは盛大に行われ様々な人種が手を取り合い魔王討伐を喜び合った


そんな中、第一王子であるマルクから重大発表が告げられる


「私は勇者であるフレイアを后として迎える!」


フレイアとマルクは手を取り合い国民に笑顔で手を振っていた。


数日後、フレイアが僕たちの村に帰ってくるという連絡を受けた


「アレス!フレイアが村に帰ってくるってよ!!」


家に飛び込んできたのは僕とフレイアの幼馴染でもあるニコラス


「僕もさっき聞いたから知ってるよ。」


「そっか。帰ってきたら盛大に祝ってやろうぜ!」


「うん、そうだね……。」


会いたいという気持ちはあったけど、正直にいうと会いたくない気持ちの方が強かった。


数日後、フレイアは村に帰ってきたが第一王子であるマルクも一緒だった


少し出遅れた僕は遠巻きから彼女達を見つめる


王子と手を繋ぎながら村人達に挨拶を交わしている姿を見て少しだけ胸が痛んだ


「ほらアレス行こうぜ!」


「ちょ!引っ張るなよニコラス!」


強引に手を引かれフレイアの前に引っ張り出され転びそうになりながら顔を上げるとフレイアと視線が交差する


「ふ、フレイア……。元気だった?」


「う、うん……。」


お互いなんとも言えず、気まずい空気が流れる


「君がアレス君かい?」


唐突に尋ねられたので視線を向けると第一王子であるマルクが視界に入り慌てて臣下の礼をとる。


「は、はい。アレスで御座います殿下」


「堅苦しいのは無しにして楽にしていいよ。」


マルクの言葉に従い顔を上げる


「そうか君がアレス君か…。君の事はフレイアによく聞かされたよ。」


マルクは悪びれた様子もなく語り始める


「フレイアは魔王を討伐したらアレスと結婚すると口癖のように言っていたんだ。でも、すまないな。私はフレイアを愛してしまい、そしてフレイアも私を愛してしまった。」


「アレス……。ごめんなさい。私は……。」


「そうですか……。殿下、私の事はお気になさらずどうかお幸せに。」


僕の言葉にマルクとフレイアが驚く


「い、いいのかい?私は君からフレイアを奪ったんだぞ!?」


「はい、殿下とフレイアはお互いに愛し合っているのですから…… それに……。」


「それに??」


「僕はもう結婚していますのでお気遣いなく。」


「「え? えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」


マルクとフレイアの驚きの声は村中に響き渡った。




「フレイア、こっちこそごめんね。」


「え? あ、うん。」


「そうだ!妻を紹介するよ。ミーナ!」


村人の人波が二つに割れ現れた女性にまたもマルクとフレイアは驚きの表情を浮かべる。


「はじめまして殿下、フレイア様。アレクの妻のミーナです。」


現れたのは国をも揺るがしかねないほどの傾国の美女ミーナ、しかもお腹が大きく膨らみ赤子を孕んでいた。


「あ、アレク君!こちらの女性は本当に君の………。」


「僕の最愛の妻ミーナです殿下。もうすぐ子も産まれます。」


気付いていなかったのかミーナのお腹に視線を向けるマルクとフレイアは三度驚きに目を開かせていた。

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