四角い海のせいで

第1話 SNSが大嫌いだ

　僕はSNSが大嫌いだ。毎日自分よりも優れた容姿、能力、生活全てにおいて負けている気がして。周りが楽しそうに騒いでいるインスタのストーリー、おしゃれに写している投稿、みんなが笑っている写真が流れてくる。その笑顔を知るだけで僕の苦しみに変わる。目の前の鏡にうつる人を見て虚しくなる。些細なことで気分がぐらついて、他の子の空に浮かぶ太陽は昇っているのに、僕の空には雲が溢れている。終わらない暗闇の中で霧ができてきてただ森の中を行ったりきたりしている。

　今僕たちの生きる世界は親切で優しい顔をしながら傷つけ合う時代なのかな。だから聞きたくないって、僕を励ます言葉なんて。現実が重くて寝れないだけだからさ。満たすものを探して満ちていくグラスが、いつも乾いた自分の心に正直になれない僕は、無愛想でごめんね。どんな状況になっても、一人が楽な時も寂しさと悲しさは僕を捕まえる。やりたいことが多いだけだからと自分を励ます。元気でやってるかなって質問へはもちろん明るい笑顔で答える。僕は平気なのにどうして僕以外が大騒ぎしてるんだよ。すぐに良くなるよきっと明日か明後日には。

　世の中の嫉妬は醜い、これもSNSのせいだよ。SNSが輝きすぎているからだよ。みんなSNSに写真を共有してハートをもらって欲を満たす。でもその欲はなかなか満たない。『なんであいつよりもいいねが少ないの？』『私はあいつよりも劣っているの？』って周りと自分を比較してしまって。そんな嫉妬の世界は苦しいし醜い。輝いていることが個性とは限らないよ。なんとなくぼんやり、ゆっくりとお茶でも飲みながら空でも眺めてた方がずっと楽しそうだよ。そんな嫉妬の世界のせいで苦しめてくるSNSが僕は大嫌いだ。