第3話 彼女がすげーエロい(誘惑)
「じゃあもう一回……ううん。少しだけキス、するよ……」
頬を染めて、上目遣い。加えてこの言い草……絶対少しじゃないよなぁ……。
「ん……」
唇と唇が合わさった。目を閉じる。
唇に吸い付くソフトなキスをされている。薄目を開くと頬に手を添え、唇を押し付けてくる天花の姿が。頬が紅葉し、目がとろけてる。息遣いも、ハァハァ、と浅い。
服は着替えた、部屋はクーラーが効いて涼しいはずなのに汗が止まらない。
「……ねぇ、もっといい?」
「あ、ああ……」
ちゅっ、とリップ音を立ててまたキス。音が漏れてないか心配だ。
「んちゅっ……はぁ……んっ」
角度を変えながら唇を押し付けられる。キスするたびにもぞもぞ動き、天花の制服と俺が着ているTシャツが擦れ合う。だんだんヒートアップしてきて、俺のTシャツをギュッと握る天花。
「ゆう、せい……くぅん……」
泣いてないのに、天花の目からは薄らと涙が浮かんでいた。
ドクリと心臓が跳ねる。
もっと深いキスをしたくて頭や顎を強引に引き寄せたかったが、そんなことをしたら自分の理性が吹き飛ぶと自覚しているので我慢する。
「えへへ……悠生くんとのキス、好きぃ……ちゅっ」
「っ……」
なにか危険を察してか、反射的に体が前屈みになる。
……このままじゃほんとにやばい。そうだ、深呼吸して落ち着かせればこの興奮も堪える事ができるだろう。
しかし、深呼吸するにはまずは天花から一旦離れないと……
「てん、か。ちょ……ストップ……」
「ンッ………んー、ん!」
嫌とばかりに首に回した腕に力を入れ、唇を押し付けてきた。
マジでやばっ……
「ん……こら、ストップって言ってんだろ……」
「あいたっ」
軽くチョップをして止めさせる。
天花から離れることができた。と言ってもちょっと距離を詰めればまたくっついてしまうが。
「ひどーい悠生くん! 彼女のイチャイチャを拒否しちゃうなんて〜」
「だからここ、ネカフェだから声小さくな。拒否してないだろ。ただ一旦休憩が欲しいの」
冷静になる時間をくれ。エロいんだから。
「私はまだまだイチャイチャし足りないのにぃー。むー」
頬を膨らませる天花を尻目に、深呼吸。
そして現状を振り返る。
部屋は仕切られているものの、厚さはそれほどなく、少しでも大きな声を出せば周りに聞こえてしまう。中はかろうじて見えない高さ。しかし、上から覗かれたら丸見えだ。
こんなところで大きな声や物音を立てたり……ましてや密室で服を脱いで抱き合っている姿を誰かに見られでもしたら……。
サァァと血の気がひく。おかげで冷静になれた。
「一旦休憩終わった? じゃあイチャイチャ再開——」
「少しって言ったからイチャイチャはもう終わり」
「えー、けちぃー。なんでなんでー! 彼女なんだからイチャイチャしてもいいじゃん」
「お前は色々と段階を飛ばしすぎなんだよ。ほらあと40分しかここにはいれないからもっとゆっくりしようぜ」
俺はコーラを一気飲みして逃げるようにドリンクバーに向かった。
◆
1時間後。外に出るとゲリラ豪雨はすっかり無くなり晴れた。
「はぁ〜! 楽しかった〜」
はぁぁぁぁ~〜! 危ねぇぇぇ!
あれから天花はパソコンでアニメを見ていていた。俺を背もたれ代わりにして。キスよりは全然……全然余裕で耐えれた。
「悠生くんなんだか疲れてるね」
「誰のせいだと思って……」
「私のせい? ムラムラ我慢してくれたんだね〜。でも我慢しなくたって私はいつでもウェルカムだからね♪ さぁ風邪ひかないように早く帰ろっ!」
機嫌良く先を歩く天花。その後ろ姿を見てため息。
付き合って3日で無自覚な時もあるが積極的な誘惑……。次のステップいくどころか、気づいたらパパになってそうな気持ち、分かるだろ?
【完結】女友達が彼女になったらすげーエロい 悠/陽波ゆうい @yuberu123
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