第26話 ふてくされてるので、悪い子になります
しつこいようだが確認しておきたい。
私、なんにも悪くないよね。
悪いのは全部阿須賀だよね。
毎年チョコあげてた私。しっかり告白して振られたのも私。
理由を聞いてもダンマリなのは阿須賀。
勝手に結婚(?)してたのも阿須賀。
なのに、なのになんで、私が意地悪したみたいになってんの!!!!
「山森くん、どうして課題がいっこうに終わらないんだろうね。」
「もういっそ、拓也って呼んで欲しいけど。」
「ああ、なるほど。」
浜守くんは、今日もライトに爽やかに私の斜め左に座る。
昼のカフェテリアはもうお約束だ。
毎日毎日一緒にお昼食べたりコーヒー飲んだりしてるのに、
むしろなんで浜守くんは、私の彼氏じゃないんだろう。
いや、私を彼女にしようと思っているっぽいことははっきり言われているので
私次第なんだろうけど、
申し訳なくも、浜守拓也、いい人すぎてどうでもいい。
この辺なのかな。
やっぱり私がおかしいから、めんどくさいことになってるのかな。
いや、ある意味この浜守拓也も強者かもしれない。
いつの間にかフェードアウトした加藤なにがしであったり、
あと二人いるらしい私を好きなやつも
すでに忘れたふりを決め込んで、
自分だけ私のそばにいようとしている。
いや、授業も一緒、お昼も一緒、帰る方向もなんとなく一緒で、
赤の他人というにはちと近すぎる距離感。
運命?これは運命なのか?
「萌さん、なんか楽しいこと考えてるの?」
顔が百面そうしているらしかった。
「ちょっと、現代における人間関係の物理的距離と心理的距離についての考察を少々…… 」
「ああ、近くにいると、好きになっちゃうってやつ?」
「いや、その、運命が絡む場合とそうでない場合、とか?」
「はは、意外と可愛いこと言うね、萌さん。」
この人は、本当に二十歳なのか。それとも私が子供なのか。
しかし不思議だ。結構素を出しているにも関わらず、
呆れた様子も見せずに一緒にいるところを見ると、
浜守くんは、本当に本当の私を好きなのかもしれない。
だとしたら、すごいことである。
もしかして、初めて私のことを好きになってくれた人なのではあるまいか。
この人とずっと一緒にいたら、ずっと幸せなのではなかろうか。
しかし、しかしこればかりはやっぱりどうしようもない。
阿須賀の子供がほしい。
たどり着く夏 つう @tu_asa
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