第13話
自転車を置き、ペタペタとサンダルを鳴らし砂浜を目指す。
ダラダラと額から汗が流れる
「お、あれか?」
柊が水着の二人を指さす。一人は黒いワンピースを、そしてもう一人はショートパンツとパーカー型のラッシュガードを着ている
「かわっっっっ!」
大きな声を出しそうになった
「おお、良く抑えた」
バカにするように拍手をする柊をひっぱたこうとするが、声に遮られる
「ああ、思ったより早いんだね」
ワンピースを着たレナがこちらに気づく
「予定時刻よりも10分早い。ほぼ理論値だ」
「いや、お前が早く来いって急かすからだろ」
強めにひっぱたかれた、痛い。柊からのかなり強い怒りを感じ、いやいやまぁまぁと柊をなだめていると
「おはよルイ、ってもうそんな時間じゃないか」
後ろから天使の声が聞こえる
「ああ! お、おはよう」
振り返ると、やはり天使がいた。ショートパンツと長袖のフードが付いたラッシュガードで、決して肌面積は広くない……が、すごく、かわいい。そう、可愛い。何が可愛いかと聞かれれば、「存在」が可愛いというしかないのだが、あえて言語化しよう。デザインもそうだが、上半身のラインは曖昧にしつつ、ショーパンにすることで、足元のラインを強調することで要の美しい体のラインをうかがえる。そこのセクシーさがまたギャップを生み、可愛さにつながっている。良い。
「おい! 聞いてる?」
柊の声で正気に戻る。
「え?」
「要に持たしておくのかよ」
要を見ると、折りたたみのイスとクーラーボックスを持っていた
「ああ、そっち重いだろ持つよ」
とクーラーボックスの方を持とうとするが
「それなら、まだ車に乗ってるやつ持ってきてよ」
「ええ、でも。大丈夫?」
「はぁ?馬鹿にしないでよ。これでも男だよ、ボク。これぐらいならどうってことない」
と怒られてしまったが、レナが
「でも持ちたいんでしょ? ならルイと柊に全部任せて私たちはかき氷でも食べてよ」
と俺に荷物を押し付け、要の手を引いて行ってしまった
「いや、でも! ボクは別に」
と抗議していたが、やはり女子高生は強い。
「ほら、ご指名だろ。早く終わらせようぜ」
そう言われ、砂浜へ向かう。
「あれ? そういえば、一人足りなくない?」
甘毒 里芋の悲劇 @satoimonohigeki
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