第16話

僕達は教会に向かった。

もうほんとに空元気も結構限界だった。

意識が落ちそうになるのを歯を食いしばって耐える。

僕らは両方の肩を背負いながら歩いていた。


「だい、丈夫?」

「う、ん、」


お互いどうやらもう少しらしい。

遺書はもう書いてある。

僕らは教会の長椅子に座る。


「いろんなことがあったよね」

「うん」

「楽しいこと、悔しいこと、辛いこと」

「それでも楽しかったよ」


紗絵さんは僕の顔をしっかり見てくれていた。

だから僕は恥ずかしいとか思わず真剣に紗絵さんの方を見る。


「それに最初はあんまり乗り気じゃなかったの知ってるんだから」

「あ、バレてた」

「そりゃあね、なんかけど途中から段々好きになってくれてよかった」

「最初はなんだこの人とか思ってたけど」


最初は流石に自分と同じ日に余命宣告されるとか流石にないだろうと思ってたけど。

ある日病院について来てほしいって言われたことがあった。

そのときに初めて彼女が言っていたことがほんとだと思った。

だけど彼女の顔色はいつも今思えば悪かった様な気がする。


「そうか、あのごめん今まで無理させて」

「え、」


何故か顔を叩かれていた。



「春君はどうして謝るの?!」

「私は最初からあなたの弱いところにつけ込んでいただけなのに」

「それに私は確かに辛かったよ」

「だけどあなたといる時間や友達とせめている時間ぐらいは耐えられた」

「それは」


僕は何も言い返せなかった。

彼女には彼女の考えがあることがわかった。

けど一つだけ怒りたことがあった。


「紗絵さん僕はあなたのお陰で今もこうして生きられているんだ」

「あの日紗絵さんは僕を見つけてくれたじゃないか!」

「僕はあれがなにより嬉しかった、だから弱みにつけ込んだとか言わないでくれ」

「頼むよ」

「春君」


紗絵さんの顔は涙で色々えらいことになっていた。

たぶん僕も同じだろう。


「それにあの日嬉しかったんだ」

「ひっぱてくれたこと、手を差し出してくれたこと」

「絶望の淵にいた僕を見つけてくれてありがとう」

「ううん、私もあの告白断られてたら多分ここまで生きてないと思うし」

「だからお互い様だね」

「うん」


お互い言いたいことがたくさんあったんだろうが残りの体力はもうあんまり残されいなかった。


「ねえ紗絵さんあの日から僕は人生がまるで180度変わったみたいだった」

「見える世界は今まで色褪せることもなくて毎日が退屈でだけどあの日君が僕を見つけてくれた」

「そのお陰で今日まで折れずに頑張ってこれた」

「うん」


僕らは立つとなにやら入り口が騒がしかった。


「ちょっと押すなって」

「うぁあ!!」


なんか大量の人だかりが出来ていた。

クラスの人達だった。

それから1,2,3年生が入ってくる。


それから一斉に人が入ってくる。

先輩も青木君もとにかく全員来てくれているんじゃないんだろうか。


「すまねえな、お前らのこと知ってたんだわ」

「実は担任から聞かせてもらってて」

「お前らガンなんだろ」

「うん」


僕らは青木君の確認に答える。

そうか知ってたのか。


「真田、いや、春」

「短い期間だったけどお前と話していることはなによりも楽しかった」

「うん、僕もだよ、もしも次があったらまた友達になりたいね」

「ああ」


声を震わせて、涙がにじみ出てきそうになっていた。

だけど我慢していた。

部活の後輩も先輩もきてくれていた。


「先輩、僕は」

「いや、いいんだ私は君に思いを伝えることが出来た」

「ていうか先輩この人だかりは?」

「お前のことみんなに話したら室長とかほかの学年まで広がっていったんだよ」

「なんかサッキーとか言う人が急に俺らのスマホにメールで送って来てさ」


メールには僕らのことが書いてあった。




突然のメール失礼する。


何故メールを送ったのか説明をさせてほしい。

実は君らの学校にいる真田春と冬木紗絵はどうも末期のガンらしい。

そしてこれは別にハッキングしたとかではない。

私の自己紹介をしておくとエランデールオンラインの爪鷹のクランリーダーのサッキーだ。

何故彼らのことを知っているかと言うと私は真田と同じクランだからだ。

頼むどうかこの場所に向かってあいつらの最後を生き様を見てやってほしい。



サッキーさんさんこんなメールを送ってくれてたのか。

けどここまでまさかしてくれるとか思っていなかったんだけど。


「真田お前ら今から卒業式をする」

「いいか」

「え!!」


卒業式?びっくりしすぎてこけそうになる。

なにやら教会の十字架の下に校長が立っていた。

その横には母さんもいた。


「え?!母さん?!」

「え?!なんで母さん達が?!」


僕と紗絵さんは二人とも驚いていた。


「なにわざわざ私が言ってやったんだ」

「サッキーさん大丈夫?」

「まあだい、丈夫だ」


汗がとんでもない量が出ていた。


「あのサッキーさんありがとうこんなに集めてくれて」

「それと校長待ってるぜ」


僕らはいつの間にか明るくなっていた教会を歩く。

教会は照明もあって卒業式になっていた。


「高校卒業おめでとう」

「ありがとうございます」

「それと保護者の皆様方今から結婚式も始めますので」

「え、結婚式?!」

「はい、保護者の皆様にはもう許可は取っているので」


こうして僕らは着替えさせられて出るとレッドカーぺートを通った。

担任が神父の格好をしていた。


「喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「誓います」


こうして僕らは夫婦になった。


「では解散!」


一斉に人が出て行く。

僕らはそこで残される。


「じゃあキスしちゃおうか!」


僕はそんなことも気にかけずにキスをした。

僕らはキスをするとそのまま意識が闇に落ちていった。

そうもう目覚めることもない。



♣♣♣


ご愛読ありがとうございました。

だいぶ下手だとは思いますがありがとうました。


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余命一ヶ月の僕は彼女に恋をした。 改宗 @runbou

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