異世界転生?

輝空歩

異世界転生?

男は夜道を、うめき声を出しながらゆっくりと歩いていた。彼は足跡の代わりに、血をぽつぽつと落としている。


彼はひき逃げにあったのだ。

電話もひき壊され、挙句夜の道路には誰もいなかった。

そのため、彼は自力で病院へと向かった。


街角から大きな建物が姿を現した。病院だ。

男は倒れそうな体を必死に堪え、入口まで足を運んだ。

しかし、警備員は誰もいない。 男はがっかりしながらも、自動ドアを通り人を探し院内に入った。


暫くたっても、誰一人姿を現さなかった。

おかしい。

男は思う。ここは都内一の岳端大学病院。夜に人がいないわけないのだ。


彼は人がいると信じ、血だらけの体を動かした。

そして、電気が消えた。

彼は困惑したが、考える疑うほどの血は脳に残っていなかった。


彼は前を見ると、廊下の先が明るくなっているのを気づいた。

そして彼は歩き続けた。

そしていよいよ光は目の前に来た。

彼は最後の力をふり絞り、一歩前に歩いた。


「なに..」


のどがつぶれた彼でも、驚き声が出た。


目の前には壮大な世界が広がっていた。

まるで中国の山の頂上から見下ろすような多くの緑の山。そしてその間を流れる水色の川、青空の中を流れる雲。

下を見ると彼は巨大な四角いコンクリートから突き出たトンネルの中に立っていた。

そして視界の隅から何かが近づいてくる


ドラゴンだ。


鎧のような銀色の鱗に身をくるめ、隙間からシュッと伸びた青い毛を生えしている。奴の黄色い目は、彼を睨んだ。

幻覚か..

彼は脳にそう言い残し、意識を失った。




目を覚ますと、男は病院のベッドにいた。助かったのだ。

やはり最後のは幻覚だったのだ。男は日常に戻れたように感じ、心が安らいだ


暫くたった頃、看護婦が病室に入ってきた。


「目を覚まされたんですね? 気分はどうですか?」


「...」男は声を出そうとするが喉が言う事を聞かない。


「びっくりしましたよ。院内に血だらけで倒れているんですから」


それはかたじけない。男は思った


すると看護師は突然衝撃の一言を発した



「ドラゴンに襲われたんですってね。ここ最近多いですからねぇ」

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