魔法少女が出てくるローファンタジー!
地球外生命体!? SF!?
とどきどきしながら読みましたが、なるほど紛うことなき現代ドラマでした。人間関係が中心です。
今でこそ「発達障害」他色々な診断名がつくようになりましたが、昔はそういったものは全て「ストレス」で片付けられていました。体に明確な影響が出てもです。
理解もされず治療もできず、取りこぼされてきて今更どうすることもできない大人達は、主人公の心情や考え方に「あの頃そうだった(もしくは今もそう)」と共感すると思います。
HPS系統の特性を持つ人は、もしかしたら少ししんどいかもしれません。
主人公だけでなく、それぞれが違った「生きづらさ」を抱えながらも、それとどう向き合っていくのか。どんな風に人と関わっていくのか。
主人公の視点を中心に、繊細な心理描写で語られていきます。
途中でもやっとしたなら、それは深く考えるチャンスです。
着地点が楽しみです。
小説を読むからには、何か残して欲しい。訴えかけてほしい。考えさせてほしい。そんな人にぴったりの作品です。
胸の内側を、がりっとやられてみませんか。
===============
完結したので追記します。
オチは、なるほどこの作品らしいと思いました。
すっきり! さっぱり! という後味ではないかもしれませんが、口の中でじんわり溶かしたビターチョコのような味わいを残してくれるでしょう。
是非その目でお確かめください。
紬希は登校中、「魔法少女」を目撃する。フリフリコスチュームで金髪、手にはステッキ……ではなくてゴミ拾い用トング!?
そんなくすっと笑ってしまうようなシーンから物語は動き出します。
地球外生命体も登場人物し、ファンタジーな物語なのですが、様々な社会的事柄を上手く取り入れつつ進む物語は大変興味深いです。
ストーリーの面白さはもちろんのこと、現代社会への知見も広がります。
そして何より、心理描写がリアルです。
少しネガティブな女の子紬希が、クラスメイトとの関わりにおいて抱く感情の揺れ動き、友人たちそれぞれの価値観とそれに応じた一貫した言動。校内での女子同士の微妙な関係性など、どれを取っても「わかるわかる!」と叫んでしまいそうです。
どこか優しい筆致で、すらすらと頭に入ってくる素敵な文体も心地よいです。
現役の女子学生さん、かつて女子学生だったお姉様方、もちろん女子の世界を覗いてみたい男性読者さん。それに、タグに記載されているワードに興味がおありの方々。
多くの皆様に、この世界に浸ってほしいです!
もう、すごい作品です。
まず、作品タイトルや各サブタイトルからセンスの高さがビシバシと伝わってきます。
そして、非常に細やかな心理描写。それが主人公だけでなく、世代や性格が異なる登場人物たち全てに及んでいて、人間心理に関する作者様の高い知識や関心を伺うことができます。
引っ張りたい女の子と、引っ張られたい女の子。地球外生命体の存在がこのふたりを繋いだことにより
訪れる変化。それの様子もまた、見事に、鮮やかに描写されています。
最初は、魔法少女や地球外生命体が出てくるのに現代ドラマ?と思いましたが、その疑問は読み始めて直ぐに立ち消えました。
これは間違いなくドラマです。もし映像化するならアニメよりも実写が良いなと思ったりしています。
物語はまだまだ中盤です。追いつくなら今。
文体も柔らかくて読みやすいですし、もっともっと読まれてほしい、というか読まれなきゃダメです!!
主人公は、ネガティブ思考(ちょっと反芻思考気味…?)な女の子・紬希。
物語は、紬希がゴミ拾いをしている「魔法少女」と出会うところから始まります。
紬希と彼女を取り巻く友だちを中心に進む日常の物語に、
魔法少女、地球外生命体といった非日常で未知のモノが混じり合っていきます。
そんな紬希は、友だちとの関係や、地球外生命体による未知の力、
そして、現実の世界で周囲のサポートや理解が必要な事柄に触れ、
悩み、惑い、そして傷付きながらも、少しずつ成長していきます。
この作品で特筆すべきは、
前述のように「現実の世界で周囲のサポートや理解が必要な事柄」が
作品中で触れられている点にあります。
普段報道などでは中々取り上げられないこういった事柄を
作品の中で触れていく手法は、大変興味深い試みであると思います。
身近にありながらも、もしかすると目をそむけているかもしれないそれらの事柄。
それを上手に物語に組み込み、分かりやすく読者に示しています。
だからといって、堅苦しい内容でも、押し付けがましい内容でもありません。
そこは、作者であるきみどり先生の手腕によるところでしょう。
そして、ネガティブ思考な紬希の丁寧な心理描写が秀逸です。
「悲しくなるのがやめられない」という言葉を見た時は、心底ドキッとしました。
(自分もそういう傾向が強いので…)
他では味わえない面白さがある作品です。
腰を据えてお読みいただくことをオススメいたします。
気になった貴方、まずは読んでみましょう!