救出作戦Part2

宮前署付近 臨時偵察小隊 栗田広志

「広域桑田から栗田、緊急対処班が到着。10分後にそちらに向かう。よろしいか、どうぞ。」「こちら栗田、了解。現場1キロ手前で無線願う。どうぞ。」「了解。」

10分。この間に奴等がどんな動きをするかで今後の動きが変わっていく。すると分隊員があるものを発見する。「栗田さん、あの車全く無傷ですよ。もしかしてジャミング積んでるのでは?」その視線の先には一台のワンボックスがあった。

確かにその周辺は銃弾が全く飛んでなく、被害を全く受けていなかった。

「あり得るな。電子機器測定器使おう。ECチェッカー使用。」

そうして分隊員に確認をさせた。その結果がついに出た。

「栗田さん、EMC電波と酷似する電波を確認。周波数は・・・警察無線の周波数です!!」「・・・やっぱりか。」

そうして俺は直ぐに桑さんに指示を出す。

「栗田から桑田、機動隊と銃対の無線を広域周波数に接続。宮前署前にEMC積載の車両を確認。どうぞ。」「桑田了解。直ちに行う。」



桑田視点

「桑田から一機、銃対各員へ一方。現時点をもって無線周波数を広域波に切り替え。

現場にて警察用周波数に反応有のEMCを確認。周波数は・・・」

そうして犯人たちはジャミングによる妨害で混乱を招こうとしていたが広域の圧倒的戦術の前に失敗し気づかないうちに劣勢になっていくのであった。


栗田視点

「栗田。指定地点に到達。どうする。」「そちらに行く。前方警戒を厳に。」

そうして偵察地点に特捜班の隊員を残し、俺は南山警部と本隊まで後退した。

「どうだ。変化は?」「未だに撃ち合ってた。恐らく武器庫は犯人の手に渡っていなのだろうな。宮前署の彼らもかんばっている。だが、一刻も早く支援が必要なのは変わらん。宮山警部、狙撃手スナイパーは今回来てますか?」

俺は銃対の宮山警部に確認した。「ああ。本部が念のためにとSATの狙撃班をこちらにつけてくれた。どうする?」これで作戦が俺の頭の中で組みあがった。直ぐに説明する。「そしたら狙撃班と銃対の一小隊は特捜の偵察小隊の元へ。そこから狙撃による支援を。恐らく奴等は驚きます。その油断をついて一気に制圧しましょう。特捜班は一気に裏手まで進行してください。先ほど病院を警戒中の刑事から『彼は署の裏手から逃げてきた。』との報告を受けたと言っています。そこなら一気に攻め込めるでしょう。緊急対処班は装甲車で正面につけて火力支援を。機動隊は周辺警戒を。銃対は後詰めで支援を。これで如何か。」そうしてそれぞれの了解を得たら直ぐにそれぞれが動き始めていた。


宮前署 警備課 川島警部補

「・・・くそ。もう、持たないぞ。」

余りにも突然すぎた。この後訓練に行く予定だったのでたまたま武器庫横の会議室に

居た為に何とか自分達の拳銃あいぼうを確保し、ある程度の予備を確保できた。

だが、相手が厳しかった。こっちは5連の38口径のリボルバー。奴等は30発を連射できる自動小銃だ。最初は攻勢に出れたが、相手の弾幕で被弾する部下がじりじりと増え今は自分達の居場所を防御するので精一杯だった。「隊長。残弾あと10です。」「自分はあと5です。」何とか交戦している部下の残弾がもう厳しい状態になってきた。”もう、肉弾戦をしかけるしかないのか・・・”そう思い始めていた時、突然外に通じる窓をたたく音がした。直ぐに俺は拳銃を構えようとした。部下は皆廊下の確保で手いっぱいだったからだ。しかし、その心配は無用だった。

「広域隊だ、窓を開けてくれ。」

そこには完全装備の広域の隊員がいたのだった。直ぐに窓のカギを開け中に入れる。

「状況は。」「もう残弾が少ない。負傷者は武器庫まで後送してある。廊下は何とか押さえてあるがそこから先が敵勢力下だ。」「了解しました。あとは我々が。特捜宮原から広域栗田。現在署内交戦班と合流。署2階を確保済み。階段より下は敵勢力下、以上。」「了解した。直ちに戦線を引き継ぎ、彼らの安全を確保せよ。なお、一階部分にこれより掃射を行う。そちらの発砲は各員の判断に委ねる。以上。」

そうしてまるで自衛隊の様な男たちが廊下へと進んでいった。その直後部下が後退し、彼らによる桁違いの銃撃が始まった。


栗田視点

「各員作戦行動開始、開始せよ。」

その無線の直後偵察地点から狙撃班による先制攻撃が始まった。彼らは冷徹に外を守っていた犯人の動きと一生に終止符を打たせた。それを確認して広域緊急対処班の運用する装甲車ブッシュマスターが前進。車載の軽機関銃で敵をくぎ付けにする。

その隙に特捜班が裏手に回り、署内で奮戦していた警官隊のところへ急行。

たった今合流し戦線を引き継いだ。それを確認したところで次の作戦に移る。

「栗田から各班へ作戦第二フェーズに移行。署へと進行開始、内部の警察官、市民の救出、処置を開始せよ。その際はバディで必ず行動せよ。以上。」

そうして装甲車から緊急対処班の隊員が一気に降車。二人一組できびきびと進んでいった。その背後を銃対と機動隊員が盾やMP5を携え、一気に進行していった。

その後、署内から閃光弾の破裂音と複数の銃声が鳴り響き、少しづつ静まり返っていった。「緊急対処1から広域栗田。現時点をもって署内の安全を確保。被疑者を4名拘束、3名を射殺。負傷者多数。救急隊を早急に願う。」「こちら栗田、了解した。直ちに送る。なお被疑者については機動隊に引き継ぎ、中央署へ連行。負傷者は広域の衛生兵メディックを中心にトリアージ実施せよ。以上。」

「緊急対処1了解しました。」


一報を受け、規制線にて待機していた消防の救急隊が臨場、展開。広域と連携しての救護活動が進んでいく。並行して部隊の撤収も始まった。銃対は機密保持の観点から直ちに帰還した。よって現場の安全確保、管理は広域緊急対処班、特捜班を中心に機動隊が穴を埋める形になった。現場周辺は信川全域の警察署からの増援による交通規制が行われていたため、負傷者の搬送は急速に進められていった。


しかし、今回の襲撃により警察官10名、市民3名が死亡

応戦した宮前署地域課佐藤巡査長、小島巡査長もその中に含まれていた。

負傷者は重軽症併せて30名近くに上り、発生後署外脱出していた斎藤巡査も

一時意識不明の重体となったが懸命の治療の結果、山場を越え現在開放に向かっている。しかし、斎藤巡査はこの事件でPTSDを発症した。無理もなかった。目の前で同期と上司が凶弾に倒れる姿を見てしまっていた。その後も彼は睡眠中に悪夢にうなされる日々を送ることとなってしまった。

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信川広域遊撃隊記 栗丸 @kukuri0627

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