どんぶらこと流れてきた桃を拾ったら美青年が出てきたしなんか妻が綺麗に見える

@MichikoMilch

どんぶらこと流れてきた桃を食べたら何故か妻が妙に色っぽくみえる

昔々、ある山の奥に、お爺さんとお婆さんが住んでおりました。

お爺さんは朝は川へ洗濯に、昼は山へ柴芝刈りに、夜は病気のお婆さんの世話をしていました。


この辺りの急な斜面は老いた足腰にはキツい。しかも昼まで川辺にしゃがんだ体勢で2人分の着物を洗っていたのだ。

(でも今日は柴刈りだけでなく胡桃や栗も採ってきた…少しでも婆さんに栄養をつけさせてやりたい)

汗を拭おうと帯に手をやると、手ぬぐいが無いことに気づいた。

洗濯をしていた時に落としたかもしれない。いつもの洗濯場はすぐそばだ。面倒だが見に行くことにする。

川についた。

手拭いがあった。

「よかった〜」大きな桃が流れてきた。

「桃だ…」

荷物が多いのでその場で切ることにした。

中から人が出てきた。

「人だ」

桃色の髪の20歳くらいの青年だ。

「大きい桃だったが人ひとり入るほど大きかっただろうか?」

悩んだが、意識のない青年と、一切れの桃を持って帰ることにした。


お婆さんは床に臥せってお爺さんを待っていた。

青年と桃を見ると驚いたが

「元気になったらうちの働き手になってもらおう」とお爺さんが言うと賛成した。


青年は囲炉裏端に寝かした。

その間お爺さんとお婆さんは、桃を分け合って食べた。

「甘い桃ですね。こんなに甘くて美味しい桃は食べたことないわ。」

お婆さんは口許から果汁を滴らせて言った。

お爺さんは妻の唇から目が離せなかった。桃を咀嚼するピンクの唇をぼうっと見ていた。

ふいにお爺さんの後頭部に手をやったお婆さん、軽く引き寄せて、「あなた、鼻の頭に桃の皮が…」と言う。吐息、桃の甘い香りがしてお爺さんはたまらずその唇を吸った。「お前こそ、こんなに口の周りぐちゃぐちゃに濡らして…」久しぶりにくちづけした妻の粘膜は桃の味がした。二人の唇が果汁を、果肉をかき混ぜる。するとお婆さんは病身とは思えないほどやすやすとお爺さんを押し倒して、腰にまたがった。ペロリと舌を出して口元を舐め上げ、乱れた髪を細い指で耳にかけた。裾から、白く細い腿が露わになっている。お爺さんが無意識に撫で上げると、見た目は筋張っているが、きめ細かく柔らかな肌だった。長く臥せっていたせいか、体重をほとんど感じないほど軽い。お爺さんはひさしぶりに昂っていた。「なあ…いいか?」「…もちろん」

答えを聞いたお爺さんは妻の羽根のような身体を抱き上げて布団に寝かせると辛抱できずもろ肌を脱がせた。何もかもひさしぶりではあるが、長年連れ添った同士、相手の体のことはよくわかる。舌で。指で。はじめは噛み殺していた声がだんだん艶っぽく響いていくのを聴くとお爺さんは我慢ができなかった。







朝である。納得のいく試合をした翌日のような、心地よい気だるさを感じながら目を覚ますと、青年が寝ていた布団は畳まれて部屋の端に寄せられていた。

隣ではお婆さんが寝返りをうっている。

「ん…ううん…」

台所から音がする。

妻の着物の袂を直し、自分も下着と着物を身につけて台所に行くと、青年が粥を炊いていた。

「おはようございます。昨日はお楽しみでしたね。」

ピンク色の髪をした青年はこちらを向いてにこやかにそう言った。

「一体…なにが…」

「何がって、夫婦なんだからいいじゃないですか。あ、安心してください、僕はずっと目を閉じてましたから」

顔が熱くなる。

「お疲れでしょうから勝手ですけど食べるもの用意させてもらいました。お米はあんまり無かったので、キビと大根と混ぜてお粥に。あと、漬物も浸かってますよね。出してもいいですか?あと、山の芋の汁も作りましたよ。これすごく美味しいんです。それに…」


夜にも"効く"んですよ


いたずらそうな微笑みを浮かべながら青年はお爺さんの耳に口を寄せて囁いた。


お爺さんは羞恥心のあまり叫びながら家を飛び出した。


しかし妻が心配だったのですぐ戻ってきた。


「昨晩はすまん…お前の体のことも考えず…」

「あんなに遅くまで。」

いつのまにか布団の横にいた青年が言う。

「ちょっと黙っててくれないかなあ!」

お爺さんに怒鳴られても青年は笑っていた。

お婆さんは立ち上がって言った。

「私は大丈夫ですよ、昨日の桃をいただいてから、なんだか身体が元気になって…それで…」

二人は真っ赤になって黙り込んでしまった。

「ほ、本当に体調は良さそうだな」

お婆さんの髪はツヤツヤとし、頬には血色が宿っていた。

「早く食べませんか?折角作ったので」

「いやだから君はなんなんだ誰なんだ、しかもその着物はうちの、しかも女物じゃないか」

「僕ですか。僕は桃太郎。桃から生まれた桃太郎です。」

桃太郎はきちんと正座をしてそう言った。

「そういうのって普通私たちが名づけるものじゃないですか?」

「いいじゃないですか、どっちみち桃太郎ですよ、桃から生まれたんだし」

「たしかに」

「あのまま川を流れていたら海の藻屑になっていたかもしれません。お爺さんは僕の命の恩人です。ぜひ恩返しをさせてください!」

桃に入って川を流れていたのはどうもきな臭い理由がありそうだが、お爺さんはそれ以上聞かなかった。お爺さんも色々あってこんな山奥に住んでいるからだ。

「働き手になってくれるならこれほどありがたいことはないよ。山奥で、何かと苦労が多いが手伝ってほしい。」

こうして桃太郎はお爺さんの家に居候することになった。

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