第4話




 あれから1時間、エリたちは弱い魔物を片っ端から倒していった。課外授業は終わりを告げ。

 授業が終われば、もう帰るだけ。エリとアリサはメアリとマイを誘い、帰路に着く。

「なぁ、今日、エリの家に行っていいか?」

 そういったのは以外にもアリサだった。アリサのその発言に、メアリもマイも、エリでさえ、驚愕で言葉を失っている。

 それを見たアリサは皆を見つめた。

 だがその瞳には、怒りは無かった。

 そこには、いつもの堂々とした少女の姿は無かった。

 そこには、まるで恋をしてしまった様な、可憐な乙女が、いた。

 弱弱しくて、つい守ってあげたくなる、そんな少女が、そこには存在していた。

「そ、そんなに、変か?」

 その言葉に皆同様に頷いた。

 だが、エリは嬉しそうに笑みを作り、アリサを見つめる。

 そして……。

「ふふ、じゃぁ今日はお赤飯かしら」

「えっ!?」

 するとそれまで控えていたメアリがエリに抱きつき、アリサを睨んだ。

 だがアりサはそんなつもりで言ったわけではない。

「ばっ、ちげぇよ、ただ今日はエリに助けられたから……料理を作ってやろうと思っただけだ……ほ、本当だからな!」

「ふふ、顔、真っ赤になってるわよ?」

「なってねぇよ!」

 そうは言うが、アリサの頬は朱を孕んでいる。それに、いつもは堂々と歩いているのに、内股になっている。

 それは、周囲から見れば、告白シーンのようにも見えた。


 ……アリサは課外授業で、不意を付かれたとはいえ、エリに助けられた、それは事実。

 それに対する恩返しがしたい、それがアリサの考えだった。

 エリもそれが分かっていて、でも大好きなアリサにそんな事を言われ、嬉しくて、愛しすぎて、そんな言葉が口から出てしまう。

 それは皆分かっているし、エリも辞めるつもりは無かった。


 アリサを見ると、顔が真っ赤で今にでも泣き出しそうになっていた。

 儀に炉の綺麗な耳も尻尾もたれており、まるで、しかられた子犬のようだった。

 エリはそんなアリサを抱きしめ、頭をなでる。

「アリサちゃん、ありがとう」

「……うん」

 アリサもエリを抱きしめる。

 いつもは強気で、いつもエリに戦いを挑んでくるが、普段はこういう風に涙もろい、これがアリサという少女だった

 ほかの2人もそれは分かっているようで、ただ、黙って2人の様子を見つめていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ケモ耳少女の学園生活 ソラ @syuuma_mirr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る