第13話 二十歳の原点
この話をすると、世代がバレてしまいます。
高校生の頃、新潮文庫で高野悦子さんの日記『二十歳の原点』を読みました。高野さんは一九六〇年代末に女子大生だった方です。
その文中にあった「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」というフレーズは今でもカッコいい。
ちなみに書名は「はたち」ではなく「にじゅっさい」です、正確には、確かそのはず。
で、憧れたわけですよ。京都での学生生活に。
ただし、この日記は遺稿集でもあるのです。高野さんは一九六九年六月二四日、鉄道自殺してしまわれたのですから。
原因は簡潔に言えば「学生運動(若い方、おわかりになりますか?)に対する挫折感」+「失恋」+「人間関係での挫折感」といったものでしょうか。まあ、ひとことでは説明できない、いろいろな要素があったかとは思いますが。
私が大学に入学した頃は、彼女が自殺されてからまだ十年あまり。
同じ専攻の中だけでも、
「『二十歳の原点』を読んで憧れて、この大学へ来ました!」
なんて言っていた子が何人もいた時代でした。
彼女が入っていたサークルにはまだ彼女の自筆原稿が残っている、なんて話を耳にしたのも覚えています。
でも、今となっては思うわけです。
なんでもかんでも一人で抱え込みすぎだよ、先輩。
と。
下手な京都好き 喜多里夫 @Rio-Bravo
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