つげ義春の旅路

作者 レネ

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★★★ Excellent!!!

人がつげ義春を語るときは、ついつい饒舌になりがちだ
それだけ魅力のある作家だから

本作の作者はしかし、自分の語りを最小限に止め、淡々とつげ作品のストーリーを追っていく

それでいて、ところどころ、隠すべくもないつげ愛が見え隠れするのが、本作の美点。がんがん語りたかったろうなあ……これ。

静謐な描写が、つげ作品を語るのにふさわしい余韻を残している。ひさしぶりに読みたくなったわ

★★★ Excellent!!!

作品解説のエッセイは説明や筆者の主観が表に出るものだが、この作品は違う。筆者が伝えてくれるのは、「つげ義春」という漫画家の作品に漂う空気感の方である。おそらく語りたいことは沢山あるのだろうけれど、そこを最小限にとどめ、淡々と話の運びとセリフを抜き出すことで、読み手に「感じさせる」ようにできている。だから、つげ作品を読んだことがない者にもじわりとその抒情性が伝わってくる。
ここまで語らない解説も珍しいかもしれないが、その奥ゆかしさがかえってつげ作品の解説としてふさわしいように思う。
短くまとめてあるものの、さらりと読んでしまうのはもったない。
筆者の厳選した作品の世界をゆっくりと感じながら読みたいエッセイである。

★★★ Excellent!!!

 あと、エッセイでは触れられていないけれど、「オンドル小屋」「ほんやら洞のべんさん」も。


 本エッセイは、つげ義春に触れたことのない方、これから読もうとしている方に向けた、とても良い紹介文になっていると思う。
 僕も中学から大学にかけてよく読んでいたが、ここまでうまく書くことはできない。


 このエッセイを読んで、つげ義春に興味を持った方が手に取りやすいのは、小学館文庫の「紅い花」「ネジ式」だろうか?
 僕も書い直したくなってきた。