第11話
「‥ねぇ」
「ん?なんだ、五恋?」
「‥なんで遊園地に来てるのよ。そしてなんで私ここにいるのよ」
目の前の光景を指差しそう言う五恋。
電車に揺られること約30分。
僕らは県内随一の有名な遊園地"ハッピーアイラビューランド"、通称ハピランに来ていた。
まあ有名って言っても全国的に見たら寂れている方だろう。
「心露ちゃんが帰りたくないって言ったからなぁ。ウチの県で一日遊ぶならここだろ?」
「ああうん、そう言えばおじさんロリコンだったわね」
「ロ、ロリコンちゃうし」
手を頭に当てて呆れたようにため息を吐く五恋。
ここまで黙ってついてきたくせに、と思うが口には出さない何故なら怖いから。
一応、理由はある。
「おまえが言っていた"あの子たちの家庭環境には同情する"って言葉が気になってね」
「‥言っとくけど、クラスメイトの話を勝手にバラすほど無神経じゃないわよ?これでも学級委員なんだから」
「まあ、だろうと思ってるけど。遅かれ早かれ多分知ることになるだろうしな。アイツが動いてる」
「アイツって‥まさかあの野良猫女!?おじさんまだあんな活動するつもり!?」
「するつもりは無いけど。でも、できたらアイツが無茶なことする前に教えてもらいたい」
「‥ああ、もう。どこに頼ってるのよこのバカ叔父は」
今度は頭に手を当てるどころか抱える五恋。
まあそりゃそうだろう。
アイツの活動に関わった結果、多分今後巻き込まれるのは間違いない。
アイツの膨大な報酬を払えるほどの稼ぎも貯蓄もない。
察しがいい我が姪っ子殿はそれがわかっているからこの態度なのだろう。
とその時、向こうから駆けてくる2人の姿が。
「ご、ごめんなさいっ!お手洗いがすごく混んでて」
「おにーさま、ただいまぁ〜♪」
必死に謝る咲葉ちゃんと、ナチュラルに僕に抱き付く心露ちゃん可愛い。
着いて早々の心露ちゃんのトイレに咲葉ちゃんが付き添ったのだが、思いの外時間が経ってしまった。
まあ、その分叔父姪の会話ができたのだが。
と、五恋がズンズンと前に歩き出す。
「五恋?おまえもトイレか?」
「違うわよっ!誰かさんのせいでめちゃくちゃストレス与えられたから発散したいの!さっさと行くわよ!」
そう言ってゲートの方に歩いて行く五恋。
‥みんなのチケット持ってるの僕なんだけどなぁ。
「波切さん‥、水無瀬さんどうしたんでしょう?」
「んー、なんだろね。さて僕らも行こっか」
「「はーい!」」
チケットを持っていないためスタッフに止められている五恋の元に歩くのだった。
喫茶"クツロ"には日常メニューが溢れてる。 橘田 露草 @Tsuyukusa-kitta
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