28話 勘違い


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 3人が子爵邸から出ると、セタース子爵の馬車が3人を待っていた。3人がセタース子爵馬車に乗り、一緒に揺れられているとリーターが

 「フローラ、シェーン。この馬車昔3人で、乗った馬車よりも全然揺れないし狭くない?」

 と、何気なく放った言葉に、2人は大声で笑ってしまった。

 シェーンとフローラの2人は、馬車はどのような馬車が良いのかを知っていたのでリーターの発言には、笑うしかなかったのだ。そんなリーターに対してフローラは、

 「リーター馬車はね、昔人攫いに乗せられた馬車は揺れたし椅子もなかったでしょ。あの馬車はね、揺れてリーターからしたら楽しかったかもしれないけど余り良くない馬車なの。いい馬車はね、揺れなくてこの馬車みたいに椅子と窓がついる馬車が良い馬車なのよ。」

 っと言ったが、フローラはシェーンとリーターが前の調査結果から、帝国の訳アリ貴族だと思っていた為今後過ごしやすいようにセタース子爵の庇護人から帝国の庇護人に変えたが、帝国の平民の大人なら誰でも知っているような事を質問するリーターの事をフローラは、外国の貴族だと勘違いしてしまった。

 

 今日2回目の勘違いである。1回目の勘違いもリーター達からしたら悲劇だが、こちらの方は個人の問題でなく帝国の問題になっていくのだが、フローラの勘違いで始まりフローラが勝手に勘違いしているだけなので、リーターとシェーンは自分たちが他の貴族からどんなこと思われているなんて知る筈もない。

 

 ~フローラの心の中~

 

 リーターが、貴族であっても帝国の貴族ではないことが分かった今2人を自由にするために、推薦した“帝国庇護人”が裏目に出てしまったわ。

 一先ず、この後あるセスタース公爵家の晩餐会で情報共有を行わなければいけないわ。でも貴族の世界に戻りたくない、リーター達が仕掛けた罠なのかもしれないわね。


 フローラは、帝国の貴族や一定以上の魔力を持つ平民(将来の騎士爵)が通う帝国最高峰の貴族院を2年飛び級で、合格し全部で6年間ある貴族院貴族教育共通課程・選択課程を合計で4年飛び級同い年の貴族が入学時に卒業をしている程、頭のいい彼女にしか分からない思考回路が有る様で相手が思っていないような事も今回みたいに向か読みしてしまうのだ。

 これは、セタース・フローラ子爵として優れている点であり劣っている点でもあると、本人も自覚している。

 

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勇者がいなくなった世界で友達探し 望月 @200051

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