第7話

「ふぁ・・・そろそろ飽きてきたな~」


王である父は何をしているのだうか?

通常であればこれほどの事をした者を討伐する為他の騎士団もしくは魔法師団を派遣する(まぁこれだけ返り討ちされればないか・・)か、再度俺と交渉する為使者を派遣するだろうが、見て取れるのは外壁の上部に魔法師団を配置し見張るのみ。これではあまりに対応が杜撰だ。

それともなにか別に作戦を実行中なのか?

ライラのお陰で周囲5キロを敵感知できるようになっている。

今感知できているのは街の外壁の所のみ

地中や上空も探ってみたが何もない

さてさて、どうなるか?

俺的にはそろそろベットに横になりたいし汗も流したいんだがな


「お?」


ボヤいているとまた外壁の扉が開いた。

名から真っ赤な鎧を身に纏った騎士達が馬に乗ってこちらに向かってくる

そんな騎士たちの先頭、ひと際豪華そうな鎧を纏っている人物に心当たりがあった。


「あれはサイモンの紅の騎士団だな」

『紅の騎士団?』


俺の声にライラが反応した


「ああ、クリスタリア王国には1~15も騎士団があるのだけど紅の騎士団はサイモンが自分で見つけてきた者を集めて作った私兵のようなものだよ」

『王城内に国の管轄外の騎士団があるのですか?問題なのでは?』

「ああ、ライラが言いたいことは分かるよ。クーデターし放題だもんな。でも最初はサイモンのお遊びだと思われていたんだよ。サイモンが5歳の時に急に騎士団を作ると言い出してね。初期メンバーはサイモンの側近たちだった。しかしいつの間にかメンバーは増えて問題になる頃には実績を積んで周りから信頼されるようなった。だから俺が父上に問題を提示した時には遅くてね。今じゃ誰もが入隊に憧れる騎士団とされているんだ。」

『なるほど。この国の上層部はあほですね』


ライラの言うとおりだ。

今や民の関心はすべてサイモンに集中している

これではそのうち誰もサイモンに逆らうこともできなくなるだろう

なんせサイモンの側近たちの忠義はサイモンのみに向けられている。

サイモンが白と言えば黒を白に出来るだけの能力もある

それだけの武力知力がある集団が王国の中枢に存在しているのである

サイモンが王位簒奪を企ててれば数刻でそれが出来てしまう状況である


「まぁ、父である国王も周りの大臣たちもサイモンを信用し、すべてを任せているから問題にならないのだろうな」


俺は再び大きく息を吐く


その時


「失礼。貴殿がこの魔物達を討伐した傑物か?」


サイモン達到着した

サイモンは馬上から俺を見下ろす形で声を掛けてくる。

その姿は正に王者の風格があり

体が無意識に後ずさろうとした

その時、ふわりとライラの温もりを感じた

その御かげか先ほどまであった劣等感は消え去り、俺は胸を張ってサイモンとその後ろに控える紅の騎士団を見据えた


「そうだ。この魔物達は俺が仕留めたものだ。あんたは?」

「失礼、私はサイモン・フォウ・クリスタリア。クリスタリア王国の王太子である。其方は何故我が国の騎士たちに刃を向けた?」

「ああ、それは・・」


俺は自身の目的と騎士の対応、それと騎士に剣を向けた理由をサイモンに語る

俺がしゃべっている間サイモンは黙って聞いていたが、後ろに控える紅の騎士団のメンバーは苦い顔をしていた

自分たちの主であるサイモンの身分を聞いても敬う様子が見られない俺を不敬と糾弾したいが、サイモンが何も言わないので我慢しているのだろう・・

俺がすべてを話し終えるとサイモンは考えるそぶりを見せ数秒後


「話は分かった。では、私直属の部下である紅の騎士団が素材の見張りを務め、貴殿は私と一緒に王城に来て頂きたい。私の武勇は各国にも伝わっているはず、その私の直属の部下が見張るあれば貴殿も安心してこの場を離れることが出来るはずだ。さぁ行こう」


そう言い張るサイモン

その言葉には自信が漲っていた

その自信は背後の部下にも伝わっており、すでにこの場を見張る騎士を選出しするべく動き出していた

主の言葉を聞いてすぐに対応するとはさすがはサイモンの側近たちだ

しかし俺の答えは決まっている


「は?やだよ。てかお前誰?」

「は?」

「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」


俺の返答にサイモンと紅の騎士たちが声をあげた

全員目を・にしてこちらを見ている

その異様な光景に思わず吹き出してしまった


「き、貴様!!」

「ま、待て!!」


その俺の態度が気に入らなかったのか一人の騎士が俺に詰め寄って来た

サイモンが静止を掛けるが興奮した騎士には届かないようだと

こいつは確か、よく俺とサイモンを比べては俺をあざ笑っていたやつだ

俺は詰め寄る騎士が手を伸ばしてきた瞬間


「わっ!!」


俺の目の前で騎士は地面に倒れ込む


「くっ。何が・・・」

「あらあら転んじゃったの?大丈夫?あ、きっと靴が悪かったんじゃなか?はい、これ」

「何を言って・・は?」


そう言って地面に横たわる彼の目の前にを置いた

俺は彼は迫って来た瞬間、手とうを繰り出し彼の足を切断したのだ


「あはは、今度はいい脚をつけてもらいな?」

「おおおおお、俺の足がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ぐ、い、痛い!!がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「アックス!?」


どうやら、知覚したことで足の痛みが体に走り彼はそのまま悲鳴を上げそのまま気絶した。

サイモンが慌てて馬から降り、彼に駆け寄るがその後俺を睨みつけた

エドワードの頃はサイモンの睨み一つに恐怖していたが、今は何も感じない

禁断の森で遭遇したドラゴン《雑魚》ほどもない圧に、昔の俺は何が怖かったのか理解できないほどだ・・

今度は俺はサイモンを見下ろす形になった

そのまま俺はサイモンを見下ろし


「俺の要求は一つ、俺をこのまま街に入れろ。俺はハンター登録と自身の武威を示すことができればそれでいいのだからな。邪魔するならそこの騎士ゴミ同様の対応をしてやろう。」

「くっ」


俺の言葉にサイモンは苦悶の表情を作る

そうだ、その顔が見たかった

俺が王都に来た目的は2つ、一つはハンター登録する事

そしてもう一つは、サイモン

お前の苦しむ姿が見たかった

俺を裏切ったシルビア・アネーモ公爵令嬢婚約者

俺を見捨てた国王

俺を馬鹿にしてきた騎士団や国民

すべての者の苦しむ姿を・・・・

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弟に王位と婚約者をとられた王子は旅に出る @masaki213856

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