第2章 幸福編

第21話 中間テスト

「しっかし、あの『必然だったらまた逢う事もあるだろうさ』とか言ってたお前がなぁ…マジか…。

 最近色気づいて髪型変えてたのもそのせいか、コノ、コノッ!」 


「………。」


 俺と石川達也、伊達葉月の3人は、俺の家でテスト勉強をしていた。

 3人とも体育会系なので勉強が出来るワケでは無いとは思っていたが、この勉強会を通して解ったのは、多分この中で1番マトモに勉強が出来るのは俺だと思う。

 昨年引退してから部活はやってないし、今年から独り暮らしなので勉強をする時間はあった。

 親がいる時は勉強しろ、なんて言われたりもしたが、逆にそう言ってくれる親がいないからか、気が焦って自ら勉強している。


 ところで、何故こんなツッコミを石川から受けているかというと、勉強会の中休み時に彼女が出来た話をたまたま2人にしてしまったため、今に至る。


「なぁ、お前の彼女の友達を俺にも紹介してくれ。

 頼む、お前の幸せを俺にもお裾分けしてくれよ〜、なっ?」


「オマエ何しに来たんだよ、勉強しに来たんだろ?

 勉強しねーなら帰れ!」


「………。」


「そんな事言わないでさ〜。

 なっ?なっ?」


 石川は俺に肩を回し、ベタベタして来た。


「…うぜ。」


「………。」


 さっきから葉月だけが静かだ。

 俯いて、何だか顔色も悪く見える。


「おい葉月、大丈夫か?

 何か顔色悪そうに見えるが…。」


「……マジか……とうとう楓がイケメンだという事が…

 知っているのは私だけで良かったのにっ…

 あぁ…時既に遅く…

 私はこれからどうすれば…ブツブツ…」


 …何だかよく判らないが、独りの世界に入ってしまった様だ…まぁ多分大丈夫だろう。


「ところで片倉君や、その彼女になった美人さんに会うためだけに『混雑してる電車に乗りたく無い』とか言ってたクセに、どうやってお近付きになったんだよ?」


「もういいだろうが、うるせーうるせーうるせー!!」


 俺は両手で耳を塞いだが、葉月まで一緒になって俺に何か言って来たので、自分の耳から手を退けた。


「楓…そんな美人さんなら、私がどんな女なのか性格を見極めてあげるわ…。」


「イヤ、いいって、本当にいい子だから…」


 葉月は有無を言わさぬ物凄い迫力で迫って来て俺の胸倉を掴んだ。


「楓はモサモサメガネなんだから、ウソ告とかで、からかわれてるのかもしれないし。

 1度私に会わせなさい…

 いい?これは絶対よ…!」


「は…はい…。」


 ヒィ…怖いよぉ、断れなかった…。


「あっ、俺も俺も〜!」


「オマエは駄目だ、何故なら彼女は痴漢のせいで男嫌いになってしまったからだ。」


「えーっ!!お前は大丈夫なのに、俺は駄目なのかよ!何故だ!」


「知らんがな。」


 俺は石川にも胸倉を掴まれ、2人にガクガクと身体を揺すられていた。何だコレ。

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ある日突然彼女が逝って塞ぎ込んでいた俺の目の前に彼女と生き写しな女の子が現れた件 YUKI @yuki-19921218

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