最終話

「テト、もうすぐ着くぞ」


テトを猫専用のキャリーバッグにいれて、


大学近くの公園に連れて行った。


テトにとってはじめての外だ。


いつも俺の部屋に閉じ込めるような生活をしているから。


テトは臆さずにバッグからでて、芝生を歩いている。


うちの子猫は好奇心旺盛な性格らしい。


和香ちゃんのご登場だ。


「こんにちは。この子がテトちゃんっていうの?」


「そうだよ。可愛くないですか?」


「かわいい」


俺にとっては和香ちゃんのほうが100倍可愛いよ。


「実は私、メス猫を飼っていて、


遊んでくれたらなって思って連れてきたんだ」


「え?

猫カフェ行っているって聞いたことあったから

飼ってっていないのかと」


「実家に預けているの。

大学からはちょっと遠いし、彼が猫アレルギーだから

連れてくるわけにもいかなくて。今日は特別にね」

キャリーバッグを持っている。

バッグを開けると猫がピョコンと顔を出した。


三毛猫みたいだ。

「私の家で飼っているモカっていうの。


モカ~、かわいいね。テト君と仲良くするのよ」



「……和香ちゃん、彼氏いるの?」


「ええ。高校時代からの彼が」

そりゃ、そんだけ可愛ければ彼氏いるよなぁ。


「彼って猫アレルギーなくせに、


モカと玩具で遊ぼうとして、


蕁麻疹バーってでちゃって、


家族全員で心配したりして」


どうやら家族で会う仲らしい。

大撃沈!!!




あれから月日は流れ


オレは社会人2年目になった。


大学卒業後、猫カフェの店員として働いている。


卒論って大変だったし、社会に出たら体力勝負のことって


たくさんあるし。


大変は大変だが、ついていけいないことではない。


結局、俺は大学時代は恋人出来ずに過ごすことになった。


可愛いなと思える子と性格のいい子って見つからなかった。


和香ちゃんは高校時代の彼氏と大学卒業後すぐに結婚。


テトのお嫁さんが来ることになって2年目になる。


色々親戚とか頼んでいたらしいんだけど、


高齢とかマンション変えるとかで行き場が難しいらしい。


そしてテトのお嫁さんに行き着いたわけだ。


和香ちゃんの飼い猫「モカ」と


オレの飼い猫、「テト」は同棲を開始してラブラブだ。



しばらくは猫が恋人みたいだ。


「オレの家族は猫カップルかよ。おやすみ」


部屋の電気を消す。


どうせ夜中の12時には運動会開催で


起こされることになるんだろうな。


「明日も仕事だし、


おまえらに起こされるまで寝させてくれよな」


安眠時間は3時間ちょっとというところだ。


それまではそっとしておいてくれよな。



夜にパチリと目を覚ます。


「ご主人はおつかれにゃ。


ご主人におなごを見つけてほしかったのじゃが、


ワシのほうにモカを連れてくるなんてなんて有能なご主人なんだ。


不満といえば、まだまだ部屋が汚いことが悩みよのぅ」


今日は腰を痛めて格別に


疲れているようだったし、夜はおとなしくしておこう。


はやくご飯が規則正しく出てくるようにならんかのう。


不満はその二点だけなのだ。


おやすみなさいにゃ。ご主人。


 END




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ロミリン 朝香るか @kouhi-sairin

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