第6話

おなごの気配がない部屋。

ぐうたらな主人め。

素敵な若人を連れてきてほしいものよのぅ!


「テトほらこっち向いて」

んん?もしや写真なるものを取ろうとしておるのか??

いいぞ、かわゆいおなごにみせてくれよ、

精一杯の可愛い顔をしてみたのじゃ。

オスだけども。

モテなさそうだものなぁ。このどんくさいご主人サマ。


お願いじゃから飯の時間は一定にしておいて欲しいのニャ〜

2時間ほど違えばイタズラしてやるからにゃ〜♪


モッフモフの寝床は吾輩のものにゃ。オレの好きな人は和香(のどか)ちゃんって言うんだ。


キレイ系というよりは可愛らしい感じ。


例えるというならトイプードルみたいな。


身長は150センチくらいらしい。


きれいな栗毛色の髪をしていて、


いつもモコモコした素材を好んで着ている。


これが可愛いんだ。


ドストライク!!!


今度こそ、ロミリンいや――


テトをおさめた写真を見せるのだ。


振り向いてくれるはず。


和香ちゃんは猫が大好きでよく


猫カフェに行くらしい。


ちなみに友人情報である。


講義が終わったときに話しかけてみた。


「これ、俺が飼っている猫なんですけど」


スマホの画面を見せる。


「あっ。はい……」


「まだ慣れていなくて、


なれている人に色々アドバイス貰えたらなって」


「……え? 私に聞くのどうかと思う」


おっしゃるとおりです。


「猫に詳しい店員さんとかに聞いてみたらいいよ」



冷静沈着でクール。


女友達といるときとはテンションがだいぶ違う。


あんなに無邪気に話していたのに。



撃沈!!


「……まあ、公園で会うくらいならいいかな。


猫ちゃんかわいいもん」


ありがとうかみさま!!!!


大学からの帰宅後。

約束を取り付けてウキウキしながら、テトに挨拶。


オスでも親愛の証ってことで。


じゃあ、お休み。

「まったく、何たるざまだ。もっと積極的行かないかにゃー」

え?俺、寝ているよな?

テトが喋っている――のか?

「相手に彼氏がいるかの確認もなしにワシをダシに使うでないわ。

まったくもう」

朝起きて、確認。

夢だよな?


猫が日本語を話すはずがない。


それに今日は約束の日。身だしなみ整えないと。


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