第11話
スキルテストが終わり、ギルドのカウンターまで戻ってきたネロ。
受付のお姉さんが何やらカードに対し作業をしているのを眺めながら、先ほどのランクテストについて考えていた。
『しっかし、ヤバいだろ…。魔法といい、鎌といい、なんなんだあの威力は。
これが個々のスタンダードなのかと思いきや、なんかそうでもないっぽいし…てかあれで悪魔だとばれてなきゃいいが…。面倒なことになった気がする…。』
まあともあれヤバかった、と嘆息するネロ。そんな感じで顔に縦線が降りているネロを横目に見るアス。こちらも結構パニクっていた。
『なんすか!?ほんとに意味不明っすよ!なんでいきなりB+まで上がるんすか⁉
そしてあの威力、多分全力じゃないっすよね…ほんとに化け物じゃないっすか⁉
多分人間でもない何か…ああああああもう考えれば考えるほど頭がクラクラするっ
すよ!』
とまあ、こんな感じで二人ともかなり思考が逝っている。冷静なのは前で作業をしている受付のお姉さんだけという状況。そのまま二人ともキャパオーバーで意識が遠のきかけた時…。
「はい!こちらがランクカードになります!身分証明書としてもお使い頂けます!」
と、受付のお姉さんがネロに先ほどのギルドカードを手渡す。先ほど空欄になっていた場所には、テストの結果…B+というランクがしっかりと書かれていた。それを受け取り、服のポケットにしまうネロ。そして、さらに追加の説明があるということで、それも聞いていく。
「さらにランクがBを超えられましたので、追加の福利厚生を受けることができます。主なものは、酒場での酒類30%OFF、ギルド経営の宿の無料サービスなどがあります、もしこういったサービスをご希望でしたら、カウンターに来ていただければ、こちらで対応致しますので、ぜひお越しください。」
と、【サービス内容】と書かれたパンフレットを手渡されながら伝えられる。どうせ泊る当てもなかったので、さっそく頼むことにしたネロ。
「じゃあ、今って宿って取れますか?」
と、空き状況の確認をすると隣のアスが、
「あ、私も使いたいっす!」
と、元気にピシっと手を上げ自分も予約の手続きを始める。驚くネロ。そういえば、アスのランクは聞いたことがなかったな…と、思い切ってアスに聞いてみる。
「あの、アスさんのランクっていくつなんすか?」
そうネロに問われたアスは、ニコっと笑って、
「A+っす!」と、驚きのランクを口にした。
そのひ弱そうな外見からは想像もできない強さだった。
たしかさっきの説明だと、人類有数の強者ということだろう。
思わず絶句して開いた口がふさがらないネロ。
そんなネロにさらに衝撃のニュースが舞い込む。部屋の空き状況を確認していた受 付のお姉さんが申し訳なさそうな声で、
「あの…、申し訳ないんですが、部屋の空きがあと一部屋しか在りませんでした…もしどうしてもというんでしたら相部屋となってしまいます…。」
と、かなりの爆弾発言をしてきた。さすがに相部屋はアウトだぁ!と、やめようとするネロだったがアスは全然気にしないとばかりに、
「あ、全然いいっすよ?部屋は何階っすか?」
と、普通に手続きをしていくアス。本当に大丈夫か?と心配になるネロだが、まあ本人が大丈夫だというんだったら大丈夫なんだろう、と無理やり納得する。そんなこんなで宿の予約を済ませ、カギを受け取り、カウンターを出た時アスが、
「ネロさん町ははじめてっすよね?じゃ、ちょっと行きましょっかー!」
と手を引き駆け出す。それに旧はなすすべもなく引きずられていくのだった…
とある異世界生活記 山奥の夢幻商会 @yamaoku_mugen-shoukai
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