第6話 花はみていた
花はみていた
菅野亮祐
いつかの土手に一人座り 花を一つ摘みました
あなたが好きな花びらちぎり あなたの帰りを待つの
人は私に言い聞かせるの
わたしの愛する人は
どこか知らない戦地の中で
花と散ったというの
信じられない 信じたくない
花に問いかけているの
私の膝には花びらが
無い花がただ積もるわ
もしも僕が帰ってきたら
あの岬のあの場所で
それは小さなレストランを
開こうと約束した
忘れはしない、あなたが征く日
ぬかるみの泥道を
勇み足をさせられたのよ
無言のまま 列なして
ある人はこう聞かせてくれた
亡き友の亡骸を
背中に背負い ふるさとの家
帰してやろうとした
ある人はこう話続ける
彼が倒れたときには
そばに二人の好きな花が
ただ揺れて見ていたと
好きな花に看取られながら
彼は死んでいった
てのひらに握りしめていたの
私の小さな写真
花は揺れて見ていただけよ
花に罪はないわ
あの人にも この人にも
憎むべきは戦争
戦よ私の愛する人を
どうか返してほしい
風よ私の友になって
涙拭ってください
花は揺れて見ていただけよ
花に罪はないわ
あの人にも この人にも
憎むべきは戦争
物書きが詩を書くときは 菅野亮祐 @daiki
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