最終話 旅の結末
カラスが手紙を落とす。
「私のしたことは、正しかったか?」
そんなことを確かめるため、私は私を旅立たせたのか。
いかにも私のしそうなことだ。
邪気のない世界。つまらない世界。のどかな世界。平和な世界。
私が、魔王にならずに済む世界。
勇者は、私のことを恨んでいるか?
それが邪気となれば、こんな世界であっても、私を刺しに来るのかもしれない。
残された時間は、わからない。
もしも私が、以前魔王で、このように世界を作り変えた者だとしよう。
そして今の私を、勇者が倒しに来たとしよう。
それを倒せば、今度は私が勇者になるのか? 平和を乱すものを倒したということで。
けれど今の私にはもう、邪気がない。邪気がなければ、勇者を振り落とすことも難しいだろう。
勇者の気持ちとは、こういうものだったのか?
カラスよ。私に伝えてくれ。私は今、私を知った。きっとお前が望んだ以上に、私を知った。
前世での私を、私という存在を、許しがたく思うほどだ。
しかし、こうなった世界をやすやすと手放せるほど、邪気がないわけではない。
勇者よ。貴様にもしも、私への憐れみがあり、トドメを刺すことができなかったのだとしたら。私は貴様が望んだ世界に作り変えたことだろう。
私はきっと、貴様に負けたのだな。そのことを知る、旅だった。
RPG.A 浅倉 茉白 @asakura_mashiro
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