第6話 邪気

 この世界にはあまり邪気がない。




 なぜそう言い切れるか根拠がないが、そう感じる。




 むしろ私がムズムズするほどだ。



 私が悪さをすれば、邪気が生まれ、それを振り払おうとする者が現れるかもしれない。



 しかし、それをわざわざ誘導する必要性は感じない。



 なぜなら、私自身にそれほど邪気がない。



 邪気というのは膨らんでいくものなのだ。周りの空気で。



 それに私が無理に邪気を出そうとも圧倒的にやられる気配を感じる。



 不思議なものだ。武器を持たぬ者たちに。




 おそらくこの世界は私が作った。



 私は神か? いや、魔王か。それとも勇者か?



 いずれにせよ、この旅は、この世界を救うためではない。私を知る旅だ。

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