第8話
バスで駅まで行った後は、電車に乗り換えそのまま終電まで行った。普段は寂れた駅だが、夏だからか観光客でいつもより賑わっている気がする。恵那は少し先を行ってはたまにこちらを振り返り、着いてきているかを確認しながら早足で海に向かっている。
「心配性だね恵那は。」
「一人で行くのが寂しいだけだろ。」
吐き捨てるようにつぶやくと、恵那がまた振り返り悪口ー?と聞いてきた。聞こえてかこの地獄耳め
「なんでもねぇよー。」
そんな誤魔化しも虚しく、恵那は舌を突き出して笑っている。
気づけば目的地である海に着いていた。体の表面はもはやそういう素材であるかのようにじっとりと重く湿っていた。ボディーシートで体を拭こうとしたが、昨日使った分で無くなってたみたいだ。帰りに薬局を寄ることを決意したのであった。
「ところで海来て何するんだ?」
「実は持ってきてたんだー!」
そう言うと恵那は水着を取り出した。
海原の祭典 @shinotsuki_nagi
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