CHAPTER 04/赤の誘惑

「はぁーい、ぬぎぬぎしましょうねぇー。」

「触るな!ガキ扱いすんじゃねぇ!」

「じゃあ早く脱いでよぉ。」

「風呂ぐらい一人で入れる!」

「そうかなぁ...」

原田は井上を疑うような眼で見る。

「何だよ、その目は」

「いや...お風呂に入ってて目を離した隙に逃げるんじゃないかなって、思っただけ。」

「しねぇよ。」

「ほんとぉ?」

原田は井上に顔近づけて追いつめる。

「近ぇよ...”おばさん”。」

この瞬間、原田の何かが切れる

「.........」

原田は井上を睨みつける。

「.....何だよ...」


「このヤロぉーー!!!」

原田は勢いよく井上のスーツを剥ぎ裸にする。

「!?」

「人が気にしてること言うんじゃねー!!」

怒った原田は井上を浴室に引っ張り入れる。

「これでも32じゃあボケー!!」

井上は身体を乱暴に洗われる。

「や...やめろぉ...」

「オラ股開けぇ!!その粗末なモン洗ってやるから開けェ!!」

(星宮...お前は許さん.....)

この瞬間、井上は初めて女性に恐怖を覚えた。


「ふふ...なんだかんだ仲良しじゃん。」

星宮はキッチンで浴室の二人を笑いながら料理をする。


「...井上ちゃん、レディにはね?言っていいこと悪いことがあるの。」

湯船の中で原田は井上に説教する。

「.......あぁ...」

「その中でもね、年齢ほどタブーなものは無いのよ。」

「私これでも32よ?32。」

「たぶん、井上ちゃんのお母さんと同じか、それより若いのよ?」

「そんなお姉さんと一緒にお風呂に入れるなんて、ラッキーだと思わない?」

「.....女に興味は無い...」

「そう?このおっぱい見ても?」

原田は乳房を井上の顔に近づける。

「見せんな...」

井上は顔を背ける。

「以外、今どきの子はこんなにもシャイなんだ。」

「これでもかぁ?」

原田は井上を抱き締める。

井上の顔が原田の胸の中に埋まる。

「?!」

井上は突然の事に驚き原田の胸の中で暴れる。

「んぅ...もう、暴れちゃめっ。」

原田は井上の頭を撫で落ちつかせる。

「ごめんね、ちょっといきなりだったね。」

「.....さっさと離れろ」

「ねぇ...なんでそんなに女の人が苦手なの?」

「フツー、思春期の男の子なら私みたいなの相手すれば、少しは意識するというか、ここまで拒否るみたいな事無いと思うけど。」

「.......」

井上は俯く。

「...まぁ、言いたくないなら言わなくていいよ。」

「なんだか複雑そうだし。」

「それより...」

「?」

「ホントにおっぱい気にならないのぉ?」

原田は乳房を井上の顔に押しつける。

「~~?!!~~!!」

井上は声にならない声を出す。



「.......」

「井上くん、食べないの?」

「.....後で食う...」

井上はソファでうなだれる。

「原田さん、お風呂で何かしました?」

「いいや?ちょっとお口が悪かったから、すこーし、ね?」

「?」

「もしかしたら、私のみりょーく的な体で興奮し過ぎちゃってあーなっちゃってるのかもねぇ〜。」

「ははは...」

(一体お風呂の中で何したの!?)

(あの女...大嫌いだ.....)

井上はソファで朦朧としながら原田を恨む。

しかし本意ではなかった。

(.......)

(モネ.....申し訳ない.....潔白ではなくなった...)


12月17日 午後23時21分

「さ、そろそろ寝る?」

「そうですね、明日もありますし。」

「井上くん、もう寝るよ!ソファじゃ体に悪いからお部屋いこ!」

星宮がソファでうなだれている井上を起こす。

「ここでいい...放っといてくれ...」

「ダメだよ!風邪引くよ!」

「うるさい.....」

「じゃ、私と寝る?」

「!?」

井上は飛び起き二人から距離をとる。

「あら、急に起きちゃった。」

「なんか...原田さんに怯えてるような...」

「そんなこと無いわよ。私と寝れて嬉しくて起きたんでしょ?」

「.......」

井上は原田を睨みつける。

「やっぱり、苦手って感じが...」

「ないない!さ、お部屋に行きましょ〜。」

「来るな.....」

原田は井上を抱きかかえ部屋に連れていく。

「やめろ...星宮...助けろ...」

「井上くん...どんまい...」

「星宮...てめぇ...」

「はーい、つきますよー。」

原田は井上をベッドに置く。

「さ、私も...」

「く...来るな...」

「だーめ。私に酷いこと言った罰でーす。」

原田はベッドに入り井上にくっつく。

「あ...」

「んー井上ちゃんあったかい。ずっとソファにいたのに、おねむかな?」

「.......」

「寝ちゃった?」

「放心みたいな感じかと...」

「あら星宮ちゃん、来たの。」

「ちょっと井上くんが気になったので...」

「井上くん、お風呂で何かしたんですか?」

「あぁー、それはね...」

原田は浴室での出来事を話す。

「...まぁ、確かに井上くんが悪い所もありますけど...」

「でしょ?まだまだピチピチで色気もあるのに。」

「でも...女性の免疫があんまりないのにいきなり裸でくっついたらこうもなりますよね...」

「そうかなぁ...鼻血ブーってして喜ぶと思ったのに。」

「昭和のアニメじゃないんだから...」

「あ!星宮ちゃんも井上ちゃんみたいな事言った!」

「いや...昭和とは言いましたけどもそういう意味じゃ...」

「うるさーい!星宮ちゃんもこっち来なさーい!」

原田は星宮の手を引っ張りベッドに入れる。

「きゃっ...」

「二人とも朝まで私と一緒に寝てもらうからねー!」

「は、原田さん...」

「もう...勝手にしろ...」

「井上くん、よしよし...」

星宮はボッーとした井上を撫でる。

「あーずるい、私もー。」

「井上くーん、よしよしぃ...」

「あ...う.....」

「かわいいねぇ井上ちゃん...」

(井上くんの目すごい死んでる...打ち上げられた魚みたいだよ...)

「ボッーとしてるみたいですし...何か飲ませましょう。水持ってきます。」

「あぁ、よろしくー。」

星宮はベッドから出てリビングに向かう。

(.......)

「うぅ.....」

(...なんだか、母性くすぐられちゃう...)




「お水持ってきたよ。井上くん。」

「.......」

「自分じゃ飲めないかのかしら...飲ませてあげよっか?」

「.......」

井上は星宮からペットボトルを強く取る。

「あっ...」

「相当のど乾いてたんだね、井上くん。」

(.......なんで俺が赤子みてえな真似されなきゃならねえんだ...)

(どんどん...汚れていく.......)

「すごい、もう空になっちゃった...」

「じゃあ、寝る?」

「そうですね。井上くん、寝れる?」

「うるせえ...」

井上は星宮と原田の反対側を向いて横になる。

「もう...反抗期ねぇ...」

「ほら、一人じゃ寒いでしょ?こっちおいで。」

原田が井上を抱きしめる。

「.......」

「もう、いつまでもぷんぷんしないの。」

「もう怒らないから。ね?」

「.......」

井上は原田の体に寄りかかる。

「よしよし。」

「...私、あっちで寝ましょうか?」

「あら、お邪魔に思わせちゃったかしら。」

「井上くん、二人で挟んでみたいんだけど。」

「...一緒にいてあげますか。」

星宮がベッドに入り井上の背中を抱きしめる。

「一緒に寝ようね。井上くん。」

「.......」

「寝ちゃったわね。」

「そうですね。さっきまで怒ってたのが嘘みたい...」

「寝顔、すごい可愛いわよ。」

原田は井上の寝顔をスマホで撮る。

「わぁ...ほんと...」

星宮は目を輝かせる。

「井上ちゃん、こういう所は歳相応ねぇ。」

「ですねぇ...」

「それじゃあ、この天使を囲んで...」


「おやすみなさーい。」「おやすみなさーい。」


CHAPTER 04 END












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アスチルベ 白城 @au190813

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