最終話 凄まじい報酬

「この度の活躍。まことに見事であった! 勇者学園の副園長デイン。並びにその生徒の者らよ。そなたらの活躍で王都リザークが救われたのだ。この偉業は代々受け継がれることだろう」


 ブリザ国王によって報奨金、並びに勲章が授与された。

 俺は特別に2億コズンも貰ってしまった。

 また、貯金が増えるな。

 家は改築したばかりだし、何に使おうか迷ってしまう。


 今は食事会の待ち時間。

 国王の計らいだ。

 ミィは大はしゃぎである。


「わは! 先生てんてー見て見て! ミィたんの勲章かっこいい?」


 国王より与えられた黄金の勲章。

 それを胸に付けて俺に見せる。


「ああ、似合ってるぞ。勇者って感じだ」


「あは! ミィたんかっこいい勇者!」


「ふふふ。国王に勲章を貰うなんて特別な人間だけだからな」


「でもね……。ミィたん、先生てんてーによしよしされる方が好きなの」


 と、抱きついてくる。

 やれやれ。

 甘えたがりだな。

 じゃあ、俺からのご褒美だ。


「よしよし」


「えへへ。先生てんてー♡」


 それを見ていた生徒たちが難色を示す。


「あー! ミィばっかり狡い! 僕もぉ!」

「わ、わたくしも……」

「あ、あたしは……。べ、別にそういうのは子供っぽいとは思うんだけどさ」


 ふふふ。


「いいよ。みんながんばったからな。よし来い」


 生徒たちは俺の元へと駆け足で来る。

 我先に、とばかりに頭を出した。

 俺が頭を撫でると至福の時間とばかりに喜んだ。


「いやぁ。流石は師匠だ。凄まじい人望です!」

「ふふふ。本当ですね。デインさんは生徒たちに愛されています。教師の鏡ですね」


 食事会が始まった。

 国王は俺たち教師と。

 生徒らは別のテーブルで、それぞれ料理を食べることになった。


 出てくる料理はそれはもう豪華な物ばかりだ。

 女児らは、見たこともない大きな豚の丸焼きに目を輝かせていた。

 勿論、公爵令嬢であるレナンシェアは見慣れているといった感じだ。


 国王が気軽に話しかけてきた。


「デインの発案した発表会の会場だがな。別の場所に変えようと思っている」


 へぇ。


「なぜです?」


砂巨神サンドゥームを動けなくした地下水が復旧の妨げになっているのだ」


「なるほど」


「早く埋め立てるように手配はするつもりだ。なにせ出ているのは温水でな。このままでは大きな沼になってしまう」


 ほぉ。温水だったのか。

 待てよ……。


「それなら埋め立てるなんて勿体ないですよ」


「しかし、硫黄の臭いがキツイのだ。異臭問題が学園の美観をそこねるぞ?」


「自然は利用しないと」


「一体どうするのだ?」


「大浴場と温水のプールを設置するんです」


「おお。大胆な発想だな。しかし、6万人が収容できる大ホールなんだぞ? そんな巨大な温水施設にするのか?」


「学校のプールは千人も使えたら十分でしょう。だから、学校の施設と一般利用施設とを分ければいい」


「い、一般利用だと??」


「そうです。勇者学園は王都から離れている。そこに観光名所を作ることで学園の宣伝になると思うんです」


 この案にはモーゼリアが目を輝かせた。


「凄いです! そんな発想、私には出せませんでした! 学園の知名度が上がれば毎年の入学生も増えますよ! そしたら、益々、学園が発展します! ああ、なんて素晴らしい……」


 カマキリ人のマンティスは手の鎌で腕を組んだ。


「うーーむ。そこまで巨大な施設だと従業員も相当な数になりそうだ。そうなると王都の雇用難も解決するかもしれませんね」


 国王は目を見張る。


「うむ! すごい発想だ! 流石はデイン! その案、早速実現しよう」


「え? 本当にやるんですか?」


「当たり前だろう! そんな凄い案を捨てるわけにはいかん」


 半分冗談くらいで言ったんだがな……。

 しかし、そうなると、


「相当な建築費用になりそうですが、大丈夫でしょうか?」


「そこは大丈夫だ。施設が儲かれば大量の税金が王都に入るではないか」


 なるほど。

 計算高いな。


「問題は温水施設の運営なのだがな。トップに立つ人間にセンスが無くては忽ち廃れてしまう」

「そうですよね。やはり、トップに立つ人間は有能な人じゃないといけませんよね」

「俺もそう思います。やはり、凄まじく強くて、頼り甲斐のある人がいいかと……」


 と、3人は俺を見つめた。


「え? 俺ぇ??」


 国王は頭を下げる。


「デイン! 施設長をやってくれぬか!? そなたしかいないのだ! 頼む!」

 

 いや、しかしだな。


「今は副園長とひまわり組の掛け持ちなんです」


 弟子のマンティスが手伝ってくれているとはいえ、6万人も収容できる巨大温水施設の運営は難しいだろう。


「有能な秘書を付ける。これならどうだ?」


 秘書?


わらわの秘蔵っ子だ。本当は他に渡したくはないのだがな。この計画は王都の発展にも寄与する重大なものだ。致し方ない」


 そう言って、1人の女を呼んだ。

 

「ルゥナ・ランバゼルナです。どうぞよろしくお願いいたします」


 年は18歳だという。

 細く華奢な体。

 知的さをを感じさせる、鋭い目をしていた。

 はっきり言って美少女だ。

 

 彼女は眼鏡を持ち上げる。


「あなたがデイン様ですね。お噂は予々」


 そう言って軽い会釈をした。


「どうだデイン? この秘書をそなたにやろう。それで手を打ってくれんか?」


 そう言われてもな。

 

 ルゥナは事務職の服を着ていた。

 上のシャツはピチピチでボタンの隙間から下着が見えそうになっている。


 そう、彼女は巨乳なのだ。

 凄まじいほどの巨乳。


「デイン様は副園長とひまわり組の担任で忙しいと思います。指示を出していただければ、温水施設に関することは私が行いますので、なんなりとお申しつけください」


 無表情のまま上半身を傾ける。

 シャツのボタンが取れそうなほど、胸がぷるんと揺れた。


 最高かよ。


「ふふふ。どうだ? 頭脳明晰、才色兼備。ルゥナは相当に使える人材だぞ」


「いや……。しかしですね」


 そうだ。

 俺は忙しい。

 温水施設の運用がおざなりになればみんなに迷惑をかけてしまう。

 たとえ、巨乳美少女が秘書になろうと、みんなに迷惑をかけるなんてできない。誰がなんと言おうと無理なもんは無理だ。

 断るしかないな、そう思った瞬間。


「温水プールができたら、ルゥナが試しに入らなくてはならんだろうな」


「わ、私がですが?」


「当然だろう。施設長と一緒に一番最初に入るのが筋というものだ」


「……わ、わかりました」


 と、ルゥナは顔を赤らめた。

 

 彼女が水着を着る……。

 そして、2人でプールに入る……。


「どうだデイン。やってくれぬか?」


「わかりました。やってみましょう」

 

 うん。

 何事もチャレンジって大切だよな!

 挑戦する前から諦めてちゃダメだ。

 なんとかやってみよう!


 マイカは真っ赤になって怒る。


「んもぉお! 先生ったらぁあ! 綺麗な人には甘いだからぁあああああ!!」


 許してくれよ。

 男のさがなんだからさ。


 こうして、俺は巨大温水施設の施設長を兼任することになった。

 巨乳美女の秘書を貰って。


 まぁ、楽しくやらせてもらうさ。


 城を出ると快晴の空が広がっていた。


「わはぁ! 先生てんてー! 虹が出てるよ!」


 うむ。

 今日もいい日だ。





おしまい。




────


ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。

自分でも大好きな作品なのですが、ここでいったん終えたいと思います。

また、機会があれば続きを書くかもしれません。


コメント、星、ハートの評価をくれた読者のみなさん、本当に本当にありがとうございます。とても、めちゃくちゃ嬉しいです。


星の評価やブックマークが多ければ、続きを書きますので、応援よろしくお願いします。

また、新作を書いていますので、そちらを読んでいただければ幸いです。


強すぎ! 物理打撃系賢者〜「もっと魔法の威力を鍛えなくてはな」「いや、正拳突きで殲滅してるってば!」〜https://kakuyomu.jp/works/16817330648928359939



それで、勇者学園のてんてぇなのですが、本作に入れるほどでもない後日談を書きました。

近況ノートにて読むことが可能です。

『デインの下着チェック』という、若干、いやかなり紳士属性の強いストーリーになっております。女児やモーゼリアさんの下着をチェックするお話です。

本当はこんなお話、書きたくないんですけどね……。などとは微塵も思っておりませんw

数話に分かれておりますので、良ければ作家のフォローをしていただけると、スムーズに通知がいくと思います。随時、掲載していきます。

私の作品は、基本的に主人公が最強で美少女が出てくる話ばかりですので、そんな話が好きな人には向いているかもしれません。


それではまた、次の作品でお会いしましょう。

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勇者学園の最強てんてぇ〜魔神の技で目立たずに補助をしていたのだけれど、無能と笑われて勇者パーティーを追放されました。俺は教師になって順風満帆だからさ、戻って来いってどの口が言ってんだよ〜 神伊 咲児 @hukudahappy

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