#0 原点O

薄暗い倉庫。

「お前、遅いぞ!」

あの頃からだった。

「今日もきちんと頼んだもん、買ってきたんだろうなぁ〜?」

学年を取り仕切るリーダーと、その子分。

圧倒的な力の差に、僕は何もできない。

だが、これも、いつもの風景なのだ。

僕は、いじめられていた。

「あ?なんだ、その目?」

「なんか文句でもあんの?あぁん?」

「なんか言ってみろよ!」

腹に強い痛みが走る。

「うぅっ、、、」

見ると、大きな拳が僕の腹を正確に捉えていた。

奴らが、こちらへ、来る。

僕には、何もできない。怖かったのだ。

観念しつつも、心の中で叫ぶ。

『誰か、助けて!!』

そして、そこで僕の意識は途絶えた。


**********


「痛っ!」

目を閉じていたのは、痛みで、かな。それとも、観念、というやつかな。

目を開けてみる。

ガタイのいい、人。人。人。あたしは、囲まれていた。

なぜか、あたしのこの体は、気がした。まるで、誰かのものを借りているような…

いや、そんなこと考えてる場合じゃない!

あの人たちが来ちゃう……、この体を、守らないと……

「「えぃっ!!」」

あたしは、拳を握りしめて、走り出した。

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鏡花水月 エチルバニリン @Modello1938A

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