第12話ウルレアの初潜入そにょ③
バタン!と閉まった扉の音にびっくりして振り向く。
貧乏おっさんがその姿を見て笑う。
「おいおい、嬢ちゃん。そんなんで驚いたら先が持たんよ? これからもっとうるさくなるからよ。」
ガハハと笑いながらスタスタと歩いていく。
ついて行こうとしたら、ピーンと張って進めない。
ジタバタしても進めない。
貧乏おっさんが、「あんた、何しとんねん!ほら、行くで?」
そう言われても、進めないんだよ…
ジタバタするあたし。
そんなあたしを見た貧乏おっさんは、あたしの後ろを見た。
「あー、着物が扉に挟まれたか。 しゃぁないなぁ…」
貧乏おっさんはそう言って、壁にあるスイッチを押した。
ゴゴゴって音をして扉が空いた。
ジタバタしてたあたしは、扉が空いた瞬間に転んでしまいました。
顔面スライディングかましてしまった…
そんなあたしの姿を見て、貧乏おっさんは大声で笑ってた。
「嬢ちゃん、気ぃつけてや。 こっから先は巻き込まれたらヤバいからな?」
なんだかんだでいい人らしい貧乏おっさん。
「貧乏おっさん、何が危険なの?」
あたしは貧乏おっさんに問いかける。
「貧乏おっさんは酷いな… おいちゃんはちゃんと名前あるんよ?一応、工場長やよ?」
その言葉を聴いてびっくりしたや。
「おっさん、あたしはウルレア。おっさんの名前教えて?」
あたしは気になって尋ねてみた。 そのおっさんの名前を聞いてびっくりしたよ…
「俺の名前はウルシュラ。…今はただのおっさんさ。」
ウルシュラ。30年前の伝説の屋台ケーキ職人。
王宮に呼ばれても一切行かない。全ては一般人の為にケーキを作る職人。 その為に貴族連中に潰されたケーキ職人。
「まさか、伝説のケーキ職人が、なんで?」
あたしは問いかけてみた。
すると、ウルシュラはあたしの手を引いて連れていった。
その現場に…
姫騎士ミリアの大冒険 影島千早 @kageshima
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