ミステリには怪盗というものが登場することがあります。
アルセーヌ・ルパンはその代表例でしょう。
しかし最近は技術の発展に伴って姿を消しつつあります。
至るところに防犯カメラがあり、怪しい行動をするとスマホによって写真に取られてしまう。
ある意味空き巣や怪盗には生きにくい時代です(もちろんその方が良いのですが)。
この作品には予告状という懐かしいギミックが登場します。
しかも怪盗ではなく空き巣。
果たしてそこにはどんな意味があるのでしょうか。
警察の警備が増えるのにどうしてそんなことをするのか。
もちろん、この小説では古典的なトリックに触れられています。警察官に化けて堂々と侵入する。
しかしその可能性は切り捨てられます。
とても潔い。
あらかじめ読者にフェアに手がかりを示し、勝負しようとする姿はどことなく本格ミステリを感じさせます。
それでいて社会的な問題も扱っています。
明らかになる真相は犯人当てだけにとどまらない。
とても良い作品です。
この謎と戦ってみませんか?