リィンカーネーションは廻る。あなたとともに

@ankown171

地球編

プロローグ(前編)

俺は幸せだった。愛する彼女と充実してる学生生活。これ以上の幸せは無いと、そう思っていた。ーーあの日までは。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「美樹。今日はどんな話をしようか?なんでも話すよ」

「晃樹……。もう、いいの。私に構うことなんてないんだよ?」

愛してる彼女の美樹は病に臥せっていた。

頬は痩せこけて元気だった頃の面影はその顔にはなかった。

急性白血病。現代でも珍しくない病魔に侵された彼女はもはや死を待つのみの状態となっていた。何故こんなにもひどいことが彼女に降りかかるのか。美樹がいなくなるのなら、こんな世界にはいたくもないのに。

「じゃあ、今日は大学の授業中の面白い話ね。この前の授業でーーー」


その2日後、いつものように病室へ行こうと思ったらいつもと様子が違う。何かあったのかと思いながら部屋に入ると美樹の主治医の先生がこちらに向かってくる。

「晃樹くん。すまない……」

たった一言。そう言って部屋を出て行った。

俺は信じたくない気持ちを必死で抑え込んで美紀に呼びかける。

「美樹。今日も、来た、よ……」

「………………」

「おい、美樹。無視、しないでくれよ……っ」

美樹が亡くなってしまった。もう、すべてがどうでもいい、生きてる意味なんて無いと本気で考えてる俺がいた。


病院からの帰り道、普段は酒なんて滅多に飲まないのに無性に呑みたくなった。

駅前の居酒屋に行って店に入る。少し古めかしい雰囲気のいい店に入って生ビールを頼んだ。今日は美樹との思い出を思い出しながら呑んでいよう。


店に入ってどれくらいだっただろうか。目の前には大ジョッキやらカクテルの杯がたくさん置かれている。頭はぐわんぐわんと重くなって歩くのが嫌だと思うには十分なくらい酔っていた。

「……すいませぇーん。会計でぇす!」

呂律が上手く回らず酔っ払い特有の喋り方になってしまう。

「はい、少々お待ちください!…………お会計が、6,705円になります。……あの、大丈夫ですか?かなり酔ってるようですが…」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

リィンカーネーションは廻る。あなたとともに @ankown171

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ