祖父の影響を受け、古文書を読み解くようになった、この物語のヒロイン・桃矢水晶。ある夜、帰宅途中に遭遇した落雷によって意識を失い、目覚めた時、そこは日本ではない別の世界だった。
右も左もわからないまま辿りついた先で出逢ったのが……、祖父の残した古書店を守る、アンバーと名乗る青年と、その古書店に取り揃えられていた、古代文字で書かれた、先人たちが遺した『本』だった。
それに興味を示し、手にしたヒロインが、『本』のタイトルを言葉にする……。
この物語の世界には、古の文字を読み解く稀有な能力があるのだと言う……。その力を持つ者は、世界の真実を解き明かすことができるのだとも語り継がれていた。
ヒロインは秘文字読解士という力を使うことで、世界を敵に回すのか? 青年は過去の呪縛から解き放たれ、ヒロインを護り続けることができるのか?
さらに……、ヒロインは元いた世界へと戻れるのか?
そして、ふたりの想いは……。
それぞれの感情が、物語中に渦巻く。しかし、そのひとつひとつが、少しずつ解き明かされていく時間の流れが素敵な物語である。
本を開き文字を読む行為、それは著者の考えや思いを知ることに他ならないと思います。強弱をつけたり、演出で装飾したり、場所を選べる言葉とはまた違い、文字はいつでも好きな時に好きな分だけ受け取ることができます。
更には国や時間を越えても伝えることが出来き、思わぬ出会いをもたらすことが出来るのが文字の良さだと思います。そしてそれはときに異世界を越えることだってあるかもしれません。
異世界へ転移してしまった桃矢水晶(とうやみずき)の持つスキルは『秘文字読解士』攻撃も防御もできないスキルを持つ彼女は、異世界の文字に秘められた思いを解くために奮闘します。
知らない世界での出会い、絆、恋、そして文字を読み解くことが世界にもたらす事象がなんなのか、続きがとても気になる作品です。
この物語に込められた思いを読み解いてみませんか?