硬派な先輩男子が子犬系後輩女子に「ぐふう!」させられるわけがない

大学3年生の男子は勉学にアルバイトに精を出し、帰ってくるのはいつも夜遅い時間。
ワンルームの安アパート暮らしで、冷蔵庫には調味料すら入っていないこともある。
だが、神童と呼ばれた(ことがあったかもしれないしなかったかもしれない)彼はこんなことで動じない。
きょうの夕飯は、もやしの塩こしょう炒めである。
サラダ油でもオリーブオイルでもない、スーパーで無料で手に入る牛脂を使うのが決め手だ。
牛脂を使うことによってもやしのシャキシャキ感が引き立ち、まるでステーキ肉を食べているかのような錯覚も同時に味わえる。※効果・効能には個人差があります
熱々もやしをごはんに乗っけてかっこむことは、もはや正義であり絶対。

「いただきます!」

だがその瞬間、スマホが震えだした。
一昨日も、昨日も、今日も、同じ時間帯に着信があった。
こんな夜遅くにいったい誰が……?

出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。
出ちゃダメだ。

無視してもやしごはんを食べるべきだ。
頭ではわかっているはずなのに、体は勝手に動いてしまっていた。

「もしもし?」








「先輩ですか? とってもおいしいラーメンを食べてきたんですよ!」











「ぐふう!」

その他のおすすめレビュー

川住河住さんの他のおすすめレビュー11